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中川翔子が、前作から約3年半振りとなるシングル『blue moon』をリリースする。TVアニメ『ゾイドワイルド』(MBS/TBS系)のエンディングテーマとして流れているこの曲は、大切な人達との出会いや別れ、愛や絆を信じる思いが刻まれたバラードだ。meg rockとの共作で書き上げられた歌詞に込めた思いを、じっくりと語ってくれた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──久し振りのシングルが完成しましたね。



「そうなんです。単独名義でリリースするのは『ドリドリ』(2015年2月リリース)以来なので、約3年半振りになります。しかもタイトル曲(『blue moon』)は『ゾイドワイルド』のエンディングテーマということで、もう嬉しくて嬉しくて! 私なりの色んな愛の形を届けられたら、という1枚になりました」

──タイトルになっている“blue moon”という言葉、とても幻想的ですね。

「もちろん(『ゾイドワイルド』のキャラクター)ワイルドライガーの青っていうイメージもあったんですが、“blue moon”にはありえないほどの奇跡っていう意味もあるんですよ。なかなか見られない現象。パッと浮かんだ言葉だったんですが、その意味もあって“これだ!”と思ったんですよね。月って普遍的だし、ずっとずっと不思議。同じ面ばかり向けていて裏が謎っていうのはちょっと怖いですけど(笑)」

──言われてみればそうですね(笑)。

「でも初めて双眼鏡で月を見上げた時の喜びも覚えていて。あんなに遠いのに、10倍にするだけでこんなにクレーターもはっきり見えていて、触れそうだなぁって。月に対する興味はいつもあったし、スーパームーンやストロベリームーンのような天体現象もSNSでリアルタイムにキャッチできる時代になったから、月のことを意識しやすくなったなというのもありましたね」



──その新曲『blue moon』には、これまでとはひと味違う大人の女性の表情もあるなと感じました。

「この3年半の間、やっぱり私は歌を歌うことと絵を描くことはずっと続けていきたいんだっていう確かなものがあることに気づけたし、その夢の続きというか目標に向かっていくんだということもしっかり見えたんです。そのためにも、全部が必要な瞬間だったんだなと思うんですよね。遠回りに思えるような道の中でも、全てが自分の未来に繋がっている。例えば30代に入ってからは舞台やドラマなどお芝居の機会もいただきましたし、その一方で、オリンピックのマスコット選考委員会という文化的な会議に参加させていただいたり。自分自身の軸は変わってないんですが、舞台をやるおかげで自炊をするようになったりと、人として変わった部分もあるんじゃないかなと思います。精神的な部分でも、少し大人になれたからかもしれないですね」

──では、楽曲完成までの経緯を聞かせていただけますか?

「まず、『ゾイドワイルド』のタイアップが決まったと聞いた時は“ばんざーい!”でした(笑)。私は将来どんな仕事をしたいかなんて考えるよりもずっと前の子どもの頃から、アニメの歌を歌う人になりたいって思っていたんですね。10代で引きこもっている間もアニメソングからたくさん勇気や友情、愛や希望や夢をもらっていたし、その夢が叶った今も、毎週ラジオでアニメソングについて語ってる──10代の時に聴いていた心の貯金があるから、いくらでもしゃべることができるんです(笑)。だけど20代の半ばくらいから、夢が叶ったその先は、自分が歌いたいってだけじゃなく、未来を紡ぐ子ども達に響く、夢の始まりや夢のキッカケになるようなアニメソングを歌いたいな、届けたいなに変わっていったんです。明確に。『ゾイド』シリーズはすごく歴史があるので、親子で楽しめる作品でもあるんですね。お父さん世代の方から“しょこたん(中川の愛称)が歌うの!? 嬉しい!”って声もあったりして。この作品は相棒との絆の物語でもあるので、今この曲をアニメのエンディングで聴いている子ども達が、いつか未来で振り向いた時、懐かしいという気持ちを尊く感じるようになったらきっと、その時が大人の始まりだと思うんですよね。アニメソングって不思議なことに、子どもの頃アニメを見ていた食卓の景色ごと蘇るんですよ。今はその家族と一緒にいなくても、“うわ、懐かしい!”って。私はいつもそういう尊い気持ちを探す日々の旅があるんですけど、子ども達にとってもそういうふうにいつかなってもらえたらなって。そして懐かしいなという気持ちとともに、こういう意味もあったのかって発見してもらえたらいいなと思うんです」


※続きは月刊Songs2018年12月号をご覧ください。

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