http://www.railwaysmovie.jp/

「RAILWAYS」シリーズ最新作『かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―』が有村架純と國村 隼のW主演で公開される。地方のローカル線を舞台に、人と人との繋がりや自分の生き方を見つめ直す姿を温かく描き、多くの世代から愛される人気シリーズの今作。若くして夫を亡くし、その連れ子を抱えて彼の故郷・鹿児島で鉄道運転士を目指す主人公・晶役を演じた有村に、役への思いや撮影秘話などを語ってもらった。
Photo:松井伴実 Text:奥村百恵

──亡き夫の連れ子・駿也と共に、夫の故郷・鹿児島で鉄道運転士を目指す晶という役を演じるにあたって、どんな準備をされましたか?



「今作は晶が大切な人を亡くしたあとの物語を描いたオリジナル脚本の映画なので、それまでの彼女がどういう人生を送ってきて、青木崇高さん演じる修平さんと出会ったことで、どう変わっていったのかという部分を想像しながら役を作っていくようにしました。𠮷田康弘監督が考える晶の過去は私が思っていた以上に壮絶な人生でしたし、彼女は修平さんの大切な息子である駿也のことを複雑な気持ちを抱えながら守らなければいけない。その葛藤をちゃんと表現しなければいけなかったので難しかったです」

──修平と出会う前の晶はどのような人生を送ってきたのでしょうか?

「両親の愛情を受けずに育ったのではないかと。だけどそんなに屈折しているわけではないので、ちゃんと自分を持った強い人なんじゃないかなと思いました。本音を話せる友達もいなかったかもしれないですし、とても孤独で寂しかったはずなのに、あまりブレを感じなかったというか。そこが彼女の魅力なのかなと思います」

──オリジナル脚本なので、わりと自由に役を作ることができたのではありませんか?

「そうですね。自分で彼女の背景を細かく想像しながら作っていくという意味では自由でした。ただ、彼女自身が愛情を受けてこなかった分、修平さんと駿也を愛したいという強い気持ちはものすごく大事な要素なので、自由に想像しつつも2人のために生きたいという思いは軸にして演じていたと思います」

──晶の過去をどのぐらいまで遡って役作りされたのでしょうか?

「幼少期の頃からを何となく自分の中で想像しましたが、一番濃く深く考えたのは10代の頃の晶でした。それはすごく大事なことだと思っていて、彼女がどんな人生を送ってきたかを想像して現場に立つのと、そうでないのとでは全く違ってくるんです。晶に関わらず、演じさせていただく全ての役にこの作業は必要だと改めて感じました」

──ご自身と晶の共通点はありましたか?

「似ていると言えば、自分に対して負けず嫌いなところぐらいでしょうか(笑)。私は晶ほど強くはないので、駿也を守るためにあそこまで強くなれる彼女を尊敬してしまいます。もうひとつ共通点というか、撮影中に晶と同じように私自身が悩んでいたことも少しお芝居に影響したかもしれません。1か月の撮影期間中に24歳から25歳になったんですけど、この時、自分の中で色々なことが揺らいでいたんです。晶は色んな揺らぎと闘っていて、私も同じように悩んで揺らいでいた時期でした。それも含めて良い時間を過ごさせていただけたなと思います」

──女性が鉄道の運転士を目指すという展開も、他の作品ではあまり観たことがなかったので新鮮でした。

「鉄道に詳しくない私が女性運転士を演じていいのかなと少し不安に思ったので、クランクイン前に必要最低限なことは調べて準備していたんです。ただ、晶も最初は鉄道に全く詳しくなくて、物語が進むにつれて勉強しながら知識をつけていくので、私も晶のように現場で学んでいったほうが自然なのかなと、少しずつ色々なことを教えていただいて学んでいきました」

──実際に肥薩おれんじ鉄道に乗ってみていかがでしたか?

「海沿いを走っている電車なので、景色が開けていて気持ち良かったです。あと、陽の光がキラキラと入ってきて綺麗だなと思いました。昼間は電車の中がポカポカと暖かくて、思わずウトウトしてしまったこともあります(笑)」


※続きは月刊Songs2018年12月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く