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~女性シンガーソングライター対談~
今年10月にそれぞれニュー・アルバムをリリースしたシンガーソングライター、初音と辻詩音。2人は同い年で共演経験も多く、約10年前のメジャー・デビューを経て現在はインディーズでの活動を展開するなど、たくさんの共通点を持っている。女性シンガーソングライターとして、また自身の音楽活動を取り巻く現状や制作についてなど、プライベートでも仲がいいという2人がざっくばらんに語ってくれた。
Photo:松井伴実 Text:山田邦子

──お2人は年齢もデビューした年も近くて、ライブでもたびたび共演されてるんですよね。



辻詩音(以下、辻)「はい。デビューは初音ちゃんのほうが1年早くて、年齢は一緒だけど学年は私が1つ上になります。私は初音ちゃんの『ホントはね』(2008年7月リリースの3rdシングル)という曲が好きで、カラオケで歌ったりしてたんです。その後ライブで偶然対バンして、急速に仲良くなりました」



初音「私は、しおんぬ(辻のニックネーム)がデビューした時のアー写が好きで。デビュー曲の『Candy kicks』(2008年11月リリース)がたくさんパワープレイを獲得してたりして、“カワイイ子が出てきたなぁ”っていつも気になってたんです。私は自分から共演者に話しかけたりできないんですけど、しおんぬとは本当に会いたかったから、この日を逃さないように絶対連絡先を交換しようっていう決意をして話しかけました(笑)」

──プライベートでも仲良しだということですが、音楽の話もしますか?



初音「人生の話もするけど、仕事の話が多いです」

辻「大変だねとか(笑)」

初音「やりくりとか(笑)」

辻「メジャー・デビューして、今インディーズでやっていてとか状況が似てるので、色々話ができるというか。私は今レーベルがあるけど、初音ちゃんは全部自分でやってるので本当に尊敬してる。仕事をお願いしたりもしてるよね」

初音「しおんぬのグッズのデザインを手伝ったりね(笑)。今回の自分のアルバムも、ジャケットとかブックレットは自分でデザインしてるんですよ」

──お2人のニュー・アルバム、共通点が多くてびっくりしました。ジャケットもすごく似てますよね。

初音「これ、本当に偶然なんだよね」

辻「しかも初音ちゃんは『マジックアワー』、私は『Magic Hour』って同じタイトルの曲まである(笑)」

初音「普段から色んな話はするけど、未完成の曲はお互い1曲も聴かせたことがないし、こういう曲作ってるよって話も全くしないから、しおんぬのCDを見て“うわ!”って(笑)」



──感性が似てるのかもしれないですね。では、それぞれの作品について少し紹介してもらえますか? まずは辻さんから。

辻「3枚目のアルバムになるんですが、タイトルは『わたしの王国」です。王国というのは自分の精神的な居場所。私は10年やってきて、自分の核となる部分がブレそうになったことが何度もあったんですね。どうやって今までの自分を取り戻そうか。取り戻すんじゃなくて全く新しいものを作ってみようか。そんなふうに悩みながら、崩壊と建設を繰り返してきたんです。自分が自分らしくいられる心の居場所である王国を建設していく、その様子をドキュメント的に詰め込んだ作品です」

──先ほどお話に出た、デビュー曲である『Candy kicks』の2007年バージョンも収録されていますね。

辻「これはデビュー前に、初めて自主制作で200枚くらいCDを作った時の音源です。変わりたいという一心でそれまでの自分を否定したりしてたこともあったんですが、結局は過去に助けられてる。それを受け入れるという意味で、入れることにしました」


※続きは月刊Songs2018年12月号をご覧ください。

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