──今回のシングル、パッケージにもすごくこだわりがあるようですね。
「そうなんですよ! 今回は3タイプあるんですが、そのうちの1つはチョコレートをイメージした箱に入っているんです。ジャケット写真も金の包み紙や赤いリボンを使って、チョコレートをイメージさせるものになっています」
──タイトルは、ズバリ『チョコレート』。やはり時期的にバレンタインが近いというのもあって?
「それもあるんですが、この曲自体、私自身のバレンタインの出来事がもとになっているんですよ」
──歌詞は実体験ということなんですか?
「はい。作ったのは16歳の時でした。15歳の時に“東京に来ない?”というお話をいただいたんですが、そのとき通っていたのは中高一貫校で、わざわざ受験をして入った学校だったし、デビューもまだ正式には決まっていないのに東京に行っていいのかなって、すごく悩んだんです。先生とか色んな大人からも止められたりして。でも、短いかもしれないけど自分なりに生きてきた15年間を振り返った時に、あんなこともあったしこんなこともあった。でも、ツラい時も悲しい時も嬉しい時もずっと音楽がそばにいてくれたなって思ったんですよ。東京行きを諦めそうになっていたけど、やっぱり“音楽がやりたい”と思って上京したんです。で、上京してすぐ音楽制作が始まった時に、振り返った出来事の中の1つがこの『チョコレート』で」
──その続き、ぜひ聞かせてください(笑)!
「(笑)。12歳の時にちょっと好きな男の子がいたんですよ。バレンタインの時にチョコレートを渡そうと思って、ブラウニーを手作りしたんです。ただ、当時の私はサッカーとか野球とかをやってるようなボーイッシュな感じだったので、あんまりそういうふうに見られてないんだろうなっていうのは分かっていたんですね。それでも、当日は柄にもなくカワイイ箱にリボンとか結んで持っていって…。だけど結局は渡せなかったっていう、切ない思い出を歌にしたんです」
──当時はなぜ渡せなかったんでしょうね?
「(その人は)みんなからチョコレートをもらっていたし、渡したらもう一緒にサッカーができなくなっちゃうのかなぁとか思って。まぁ単純に、小学生だからそういうことに慣れていないっていうのもあったんでしょうけど(笑)」
──バレンタインっていう時期的なこともあったとは思うけど、どうして今この曲をリリースしようと思ったんですか?
「私は(2013年の)12月に19歳になったんですけど、もし20歳になってこの曲をリリースすると、何だかちょっと思いが薄まってしまう気がしたんです。大人に近付くにつれて、恋愛って“好き”って気持ちの先を求めるじゃないですか。一緒にあそこに行ってみたいなとか、手を繋いでみたいなとか。もっと言うと、私はこんなに好きなんだからあなたも愛してよとか、もっと愛されたいって気持ちが突っ走っちゃう。でもこういう幼い頃の恋って、相手に“好き”を伝えるだけでいっぱいいっぱいですよね。思いが通じなくても、ただ相手に好きだってことを、ここでずっと見てたんだよってことを分かってほしいだけ。すごくピュアだと思うんです。これから年を重ねれば私もきっと恋愛をしていくと思うけど、こういう、ただ“好きだ”って伝えたかったピュアな気持ちは、忘れずに形にしておきたいなと思ったんですよね」
──女の子は特に、そういうピュアな思い出から、今だから笑って話せるエピソードまで、バレンタインの話題は尽きないですよね。
「そうそう。上手くいかなかったとしても、そのことを明るく話せたりするようになった時に、自分もちょっと大人になったのかなって思ったりして。あと、きっと皆さんも今のことで精一杯で、昔のことなんてあまり考えず、常に急ぎ足で歩いていると思うんですね。だけど今の自分があるのは過去があるからだと思うので、思い出の1ページじゃないですけど、ほっとひと息つきながらでも聴いていただけるような1曲になればいいなって思っているんです」
──なるほど。レコーディングはいかがでしたか?
※続きは月刊Songs2月号をご覧ください。