http://may-j.com/
大ヒットを記録した『Summer Ballad Covers』(2013年6月)に続くMay J.のカヴァー・アルバム第2弾『Heartful Song Covers』がリリースされる。『キラキラ』(小田和正)、『元気を出して』(竹内まりや)、『Story』(AI)、『遠く遠く』(槇原敬之)etc...。歌詞の内容にこだわり、“元気になれる”“明日も頑張ろうという気持ちになれる”楽曲をセレクトした本作には、常にリスナーのことを考え、期待に応えようとする彼女自身の姿勢が反映されているようだ。
Photo:外山 繁 Text:森 朋之

──2作目のカヴァー・アルバムがリリースされます。『Heartful Song Covers』というタイトル通り、心が温まるような楽曲が揃っていますね。

「前回のカヴァー・アルバム(『Summer Ballad Covers』) は、テレビ番組で歌ったのがキッカケになって、“カヴァー・アルバムを出してほしい”というたくさんの声に応える形で作った作品だったんです。それをたくさんの方に聴いていただくことができて、しかも“すごく元気が出た”“明日から頑張ろうという思いになれた”ということをいっぱい言ってもらったんですね。“歌うことで誰かをハッピーにしたい、パワーを感じてほしい”というのはデビュー当時から一番大切にしていたことでもあるし、私自身も常に音楽に励まされて、自信をなくした時も次に進む力をもらってきて。そういうことも含めて、今回は自分が常に大切にしてきたメッセージを重視して、前向きになれるような歌を歌いたいと思ったんです。選曲についても、まさに“Heartful”な歌詞を選んでいった感じですね」

──選曲の基準も明確だった、と。

「そうですね。もう1つ意識していたのは、幅広い世代の人に聴いてもらえるアルバムにすることですね。自分のお気に入りを揃えるのではなくて、小さい子ども、お父さん、お母さんからおじいちゃん、おばあちゃんまでが楽しんでもらえるような選曲にしたいなって。今、May J.の音楽を聴いてくれる方々は3世代くらいに広がった感じがしていて。あとはもう、とにかく歌詞ですね。たくさん歌詞を読みました(笑)」



──確かに、どの曲からも歌詞のメッセージ性が真っ直ぐに伝わってきますよね。

「まずは何度も歌詞を読み返して、それを自分なりに解釈して。そこに正解とか間違いはないと思うんですよ。その曲をどんなふうに受け取るかは人それぞれだし、そこで生まれるストーリーも違っていいというか。何度も曲を聴いて、自分なりに連想しつつ、表現を作っていった感じですね。例えば悲しい曲だったら、“あの時の気持ちに近いな”って過去の記憶を引っ張り出してきて…。どの曲もそこから始まるんですよ。“素晴らしい原曲をどれだけ自分の曲にできるか”っていう作業を大事にしているので」

──May J.さん自身の経験と重ねながら歌う、ということですか?

「リアルな感情がないと、聴いている人には伝わらないと思うんですよ。気持ちを作るために、レコーディングの1〜2週間前からずっと曲のことを考えていますからね。そこで自分なりに起承転結を作って、レコーディングの時に一気に爆発させるっていう…」

──とにかく準備が大切。

「そうですね。今年のお正月はお休みをもらってハワイに行ったんですけど、その時も1曲1曲、1人で思いを固めていって。ハワイってゆっくりするための場所だと思うんですけど、4日くらい経ったら“早く戻って歌いたい”っていう気持ちになってしまって(笑)。レコーディング自体も、ゆっくり時間をかけてやれたんですよね。声の調子も万全だったので、パーフェクトな状態で録れましたね」

──素晴らしい。例えば『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』を歌う時は、15歳の時の自分を思い出しているんですか?

「はい。15歳の自分、25歳の自分っていう2人の自分を想像して。1番の歌詞は15歳の時のちょっと自信がない自分で、2番は25歳の自分が15歳の自分に向かって“どういうふうに語りかけるか?”ということをイメージしながら歌っていました。あの頃の自分に対しては色々と言いたいこともあるので(笑)」

──15歳っていうと、すでに音楽活動をスタートさせていたんじゃないですか?

「14歳でオーディションを受けて、デビューに向けた準備を始めた頃ですね。すごく葛藤がありましたね、あの時は。もっと上手くなりたい、もっとこうなりたいっていう気持ちが強かったし、常に自分に対して怒りを持っていました(笑)。なかなか素直になれない自分もいたし」



──今はどうですか? 15歳のMay J.さんが想像していた、理想の25歳になれている?

「もっともっと大きな夢があるので満足しているわけではないですけど、通過点としては“あの時になりたかった自分”だなって思います。もっと大人になってるんじゃないかなって期待してたんですけど(笑)、でもちゃんと自分の道は歩けているかなって」

──AIさんの『Story』は、アルバムの中では比較的最近の曲ですよね。これはリアルタイムで聴いてました?

「リアルタイムですね。デビュー前もライブに行っていたし、この曲を聴くと、あまり上手くいかなかった時期だったり、“なかなか夢が叶わないけど、ここでふんばって頑張っていこう”と思った時のことを思い出しますね。“1人じゃないから”という歌詞もそうですけど、すごく心が強くなれる曲だし…。私にとって、音楽は友達のような存在なんですよ。悩みがある時も、あんまり友達に話したりしないで、1人で解決しようとする性格なので、そういう時に音楽を聴くと“この歌詞を胸にして、明日から頑張ろう”と思えるっていう」

※続きは月刊Songs4月号をご覧ください。

Close