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前作『女の子は泣かない』(2014年1月リリース)に続く3枚目のシングルは、亀田誠治がアレンジを担当した疾走感溢れるロックナンバーの『Oh JANE』と映画『ライヴ』の主題歌に抜擢された美しくて切ないバラード『あなた』の両A面。さらに、FTV福島テレビ『いっしょに歩こう!ふくしま』のイメージソングに起用されている『小石は蹴飛ばして』とアコギの弾き語りで聴かせる『あの場所で偶然』がカップリング曲として収録されている。それぞれの曲に込めた思いを、じっくりと語ってもらった。
Photo:秋倉康介 Text:田中隆信

──『Oh JANE』は前作『女の子は泣かない』のレコ発イベントでも歌っていましたが、いつ頃作った曲なんですか?

「作ったのは去年の5月頃です。常日頃“女性って大変だな”とか思ったり、逆に“女性だからこその特権”みたいなものも感じていたりしてたんですけど、ずっとそれを形にできずにいて。去年の4月に弾き語りツアーをしたんですけど、その時は1か月まるまる休みがなくて全然曲作りができませんでした。その分、制作意欲がすごく高まって、ツアーが終わったあとにギターを弾きながら“たまには乱れてみたい”とか、ちょっとふざけてそういう気持ちをメロディーに乗せて歌ってみたら、“あ、このフレーズ気持ちいい”って(笑)。“いつまでもちやほやされたい/でも女はわかってる”っていうところから始まって、テンションを上げながら作り進めていったら、あっという間にでき上がりました」

──“曲を作ろう!”と思って作ったんじゃなくて、思っていた気持ちをそのまま形にしたら、この曲になったということですね。

「はい。サウンドアレンジも勢いが感じられると思うんですけど、曲作りの段階から既にそういう勢いは出ていたような気がします。歌詞は『女の子は泣かない』は友達の話を元に作りましたが、『Oh JANE』は結構自分の素に近いですね」

──この曲のアレンジャーは亀田誠治さんですが、そのキッカケは?



「周りのスタッフさんがこの曲を推してくれてシングルにすることが決まって、その時に“亀田さんがいいと思うんだけど”って提案してくれたんです。歌詞の世界観もそうですけど、歌声もヒステリックな感じですし、強い女性像みたいなところがあるので、椎名林檎さんなどの作品を手掛けてこられた亀田さんが合いそうだなって思いました」

──亀田さんにはどんなオーダーを?

「デモ段階の弾き語りのメロディーとか構成とかリズムとかはあまり変えずにシンプルに、だけど亀田さんの魔法がかかってる感じにしてくださいって。ざっくりとしたお願いだったんですけど、想像していた通りの聴いていてメチャメチャ楽しいアレンジにしてくれました」

──ミュージックビデオもYouTubeの公式チャンネルで既に公開されていますが、カッコいい映像ですね。

「ありがとうございます! 嬉しいです。暗い駐車場に女の人が立ってるっていう設定だけでもすごくシュールなのに、高級な車に乗ってたり、フルーツをやけ食いしてたり、吹っ切れてる感じがこの曲にすごく合ってるなって」

──メイクも含めて、いつもとは違う雰囲気ですし。

「そうですね。メイクもかなり濃くしてもらって、シャープな感じになっています(笑)」

──最後の屋上で叫んでるシーンですけど、あれは何て言ってるんですか?

「何だと思います?」

──歌詞の内容からして“愛して〜!”とか“会いた〜い!”とか、そういうことを言ってるのかなって思ったんですけど、正解は?>

「“腹減った〜!”です(笑)」

──歌詞と全然関係ないんですか(笑)?

「“今の気持ちを叫んで”って言われて、出てきたのがそれでした(笑)」

──これからご覧になる皆さんは、そこにも注目してみてください。そして、『あなた』は映画『ライヴ』(5月10日公開予定)の主題歌にも起用されましたが、曲自体は以前からあったものですよね?

「はい。デビューする前からありました。それこそ“閃光ライオット”(2011年)に出場する前からあって、3次審査でも歌った曲です。そこからはあまり歌わなくなっていたんですけど、映画の主題歌に選んでいただいて、久し振りにこの曲と向き合えたような気がします。書いた時の気持ちを思い出しながら、“あぁ、いい曲だったんだな”って」

──数年前の歌詞と向き合ったことで、その当時と比べて何か変化がありましたか?



「この曲を書いた頃はホントに悲観的で、“なぜ人って忘れちゃうんだろう”とか“何で自分はこうなんだろう”って思っていました。今は“人はそういうものなのかも”って、良いのか悪いのか分からないですけど受け入れちゃってる感じになっていますね。受け入れつつ、でも頑張ろう! みたいな」

──この曲のアレンジャーは久保田光太郎さんですが、原曲からどんなふうに変わりましたか?

「私自身、この曲は弾き語りのままがいいと思っていて、アレンジをするというイメージが全然なかったんです。アレンジの方向性を決めるために久保田さんとお話をさせてもらった時に、“あまりドラマチックになりすぎず、大袈裟すぎない感じがいいです”って伝えました。深刻なまま、ズンとくる曲であってほしいなって思ったので、アレンジしてポップに寄りすぎちゃうのもイヤだなっていう気持ちも伝えましたね。結果、すごく生命力に溢れている感じになりましたから、アレンジしていただいて良かったです」

※続きは月刊Songs5月号をご覧ください。

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