HY *撮りおろし4ページ |
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──初のラブソングアルバム『LOVER』がリリースされます。コンセプトを立てて制作に向かったのはHY史上初めてのことですよね?
名嘉 俊(以下、名嘉)「(オリジナルアルバム)10枚目にして初めてですね。来年の15周年を前に、何かチャレンジすることはないか!? とメンバーで話し合った時に、最初からコンセプトを決めて曲作りをしていったら、また違う扉が開けられるんじゃないかということになって。それで“愛”をテーマにしたラブソングアルバムというコンセプトでいくことにしたんです。最初は正直戸惑いもありましたね、HYはずっとコンセプトを決めずにやってきていたから」
仲宗根 泉(以下、仲宗根)「自分も俊と同じで。私は男と女の愛しか書けないし、大丈夫かな、みたいな感覚に最初はなってた。でも他のメンバーが家族に対しての愛とか、ラブソングには色んな愛があるよという感じで曲を書いてきたから、別に男女の愛だけじゃないんだ、何を書いてもいいんだって私の考えも変わってきて。結局私の(作った)2曲は男女のラブソングにはなりました」
──新里さんはどうでしたか?
新里英之(以下、新里)「自分はそんなに違和感はなかったですね。曲作りが始まる前は、ラブソングというと、ミドル系バラード調のアルバムになるのかなと思ったけど、前に俊が作った『I LOVE YOU』(2012年3月リリースのアルバム『PARADE』収録)みたいなアップテンポのラブソングもあるから、激しい曲でも愛の歌が作れるかなと思って、そこから考え方が広がりましたね。自分のこの想いが目の前にいる大切な人に届けばいい! という感覚で作っていきました」
──確かに今回は、自分と相手の1対1の関係性にフォーカスされていますね。
名嘉「そうですね。1、2枚目の初期の頃のラブソングも、あれはあれであの時の自分達だし。また家族の愛がとっても恥ずかしかった時期から、30歳になって自分達の愛の見方や感じ方も変わってきている。その違いが今回のアルバムには出ていると思います」
──『あなたを想う風』も、この歳になった今だから伝えられる歌という?
名嘉「歌詞の内容は、たぶん20代では書けなかっただろうなという深いものを感じます。サウンド的にも変わったけど、曲の構成は初期に近い形ですね。イズ(仲宗根)がサビを歌って、ヒデ(新里)が後半にハモらせてダイナミックになりつつ、自分がラップで入っていく感じで。今回の中で一番ド真ん中のHYらしさが出ているんじゃないかな」
──映画『想いのこし』の主題歌が決まってから書いたのですか?
新里「決まる前から作り始めていた曲でした。その頃は自分の周りでちょっと悲しい出来事が続いていて、命について考えていた時期だったんです。その時に映画の主題歌の話をいただいて。台本を読んで、映画を見終えた時に、今まで自分が感じていなかった感情が生まれてきたんですね。『想いのこし』は恋愛だけではなく、命や死に対しての考え方も深く入っていて。見たあとに、僕もいつ死ぬか分からないから周りの人に喜んでもらえることを何かしてあげられたらいいな、という感情がより強く芽生えてきた。ちょっと前に書いていた曲だけど、この映画と自分の今の環境や想いを重ねた曲になりました」