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Charaの約2年半振りとなるフル・アルバムは『Secret Garden』(=女性の子宮)をイメージした、奥深く、美しい愛に満ちた作品となった。人を愛することに伴う切なさ、強さ、優しさを描き出すボーカルはもちろん、ソウルミュージック、フォークトロニカ、オルタナティブなどの要素をナチュラルに織り交ぜたサウンドメイクも絶品。デビュー25周年を目前にした現在、彼女はアーティストとしての新たな充実期を迎えつつあるようだ。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──ニュー・アルバム『Secret Garden』、慈愛と滋味に溢れた素晴らしいアルバムだと思います。制作にあたって、何かテーマみたいなものはあったんですか?



「テーマはいつも“私”なんですよね。その時の私だったり、そこに生きている私だったり。もちろん、それまでの経験も含まれてるんですけどね。小さい時から音楽が好きだったし、4歳くらいからの記憶が残っているから、けっこう色々あるんですよ(笑)。その中で“いいな”と思った音だったり──洋楽が多いですけど──自分で曲を作るようになってからの経験、楽器を触っている中で感じたことだったりも入っていて。今回はね、わりと鍵盤が多いんですよ。故郷に戻ったというか、すごく素直に作れたんじゃないかなって」

──Charaさんの個性、“らしさ”もたっぷり出てますよね。

「そうだね。言葉の符割りとかには、けっこう独創性が出てると思います。“ほぼ聴き取れない”みたいなところもあるかもしれないし(笑)、曲によってはハッキリ言葉を伝えているところもあって。そのバランスは私の特殊技術みたいなものだし、きっと分かる人には分かると思うんだよね。ほら、赤ちゃんが泣いててさ、お母さんとかベビーシッターさんとかは“そうかそうか”って言いながら抱っこすると泣きやんだりするじゃない?」

──どうして泣いてるか、分かる人には分かりますよね。

「そうそう。ある種、それと同じようなことなのかなって(笑)。それは自分にとって必要な部分だと思うんですよね。これは良いところでも悪いところでもあるんだけど、自分のアーティスト性を守ることをプロデュースしてるというか。“それをやったらカッコ悪いよね”とかね。レコーディングの時も“デモのほうが良かったから、そのまま使っちゃおう!”って言い出したり。そういうことも自然にやれたと思いますね、今回は」

──クリエイティブに向かう時の純度がさらに上がっている?

「あのね、今日もずっと考えてたんだけど、いかに純粋に生きるかによって、芸術的な要素が出てくると思うんですよ。うちの子どもってすごく素直に育ってるんだけど、“素直に生きてるっていうだけで芸術だな”って思ったりして。もちろん、そういう愛する者達からの影響もあるよね、無意識のうちに」

──『Secret Garden』というタイトルは、どんなところから生まれてきたんですか?

「“タイトルはこれだな”って確信的になったのはアルバムができてからなんですけど、ずっと気になってる言葉だったんです。ミニー・リパートンの『Come To My Garden』という曲があるのね。女神風のイントロから始まって“Come To My Garden〜”(←と口ずさむ)ってセクシーな感じで歌うんだけど、それもずっと心の中に引っかかっていて。そこからかな、“子宮”をイメージし始めたのは」

──『Secret Garden』=子宮っていう結びつきも、Charaさんらしいセンスですよね。

「私ね、子どもが欲しいの(笑)。小さい時から“子どもは3人欲しいな”って思ってたし。私は2人姉妹なんだけど、親に“もう1人いれば良かったのに”って言ったりして。それは密かな夢なんだけど、年齢的なことを含めて“そろそろリミットかな”なんて思うと切なくなったりして。で、こんな彫刻(←ジャケットに描かれている女神風の彫刻)になっちゃったっていう(笑)。前回の『Cocoon』(2012年10月)の時も、同じようなイメージがあったんですよ。“男の人に彫ってもらってこういう形になったけど、見て、中は空洞よ”みたいな。“無理に埋めることもないわ、このままでいましょ”と思っているうちに、空洞の中に花が咲くっていうイメージだったんだけど、気が付いたらちゃんと埋まってたんですよね」

※続きは月刊Songs2015年3月号をご覧ください。


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