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華原朋美が、オリジナル曲としては9年振りとなる新曲『はじまりのうたが聴こえる』をリリースする。作詞は華原朋美本人、そして作曲は小室哲哉氏。歌手デビュー20周年を迎えた今、「全てを懸けてのシングルになると思う」という今作には彼女のどんな思いが込められているのだろう。6月には初となるオールタイム・ベスト・アルバムを2作品同時リリースし、7月からは全国ツアーもスタート。「明るい光がたくさんあるものにしたい」と抱負を語る笑顔が輝いていた。
Photo:外山 繁 Text:山田邦子

──本誌には楽譜も掲載されているんですが、華原さんは普段から楽譜をご覧になる機会は多いですか?



「最近よく見ています。去年はカバーを2作品やらせていただいたのですが、自分流にも歌いたいけど、もともとの音符の位置とかその曲の良さとか、絶対的に変えちゃいけないところがあるので」

──カバー曲を歌うというのも、シンガーとして大きな経験になったのでは?

「そうですね。あまりにカバーばかり歌うから“もうオリジナル曲が歌えないのでは?”なんて言う人もいたけど(笑)、カバーが注目されている今、自分もやらせていただけたことは嬉しかったし、歌うことに対しての責任というのも、改めて感じることができました」

──その後、自分の歌というものに変化がありました?



「ありましたね。私はキーが高いところを得意として歌ってきたのですが、ただ高いだけだと、聴く側にとっても“ただ高いだけじゃん”で終わっていたと思うんですね。昔の曲を今聴くと、メロディーと歌詞に添ってのキーの高さというのが、自分の中で重なり合ってないなというのがすごく大きくあった。そういうことにも気付けたんですよ。カバーすることでファルセット(裏声)の大事さも分かってきて、だんだん上手く使えるようになってきたんじゃないかなと思っています」

──じゃあきっと、すごくいいタイミングでオリジナル曲をリリースすることができたんですね。

「まだまだ未熟な部分もたくさんありますが、たくさんのことを勉強させてもらってからの、待ちに待ったオリジナル曲です。やっと辿り着けたという感覚でもありますね。ものすごく久し振りになるのですが、初めてに近いような感覚で作詞もさせていただいて。今回は実体験を元に、色んなことを直に伝えていきたいというのがコンセプトとしてあったので、1行1行、ウミガメのような気持ちで生み出すというのもいい勉強になりました(笑)」

──オリジナル曲としては約9年振りになるんですよね。

「はい。90年代はシングルもアルバムもたくさん出せたし、たくさんの方が買ってくださった時代でもあって。でも最近は、世の中の状況としても変わってきているので、その重みをすごく感じながらリリースさせていただきます。何というか、全てを懸けてのシングルになると思います」

──そこで自分の実体験を歌っていこうと思ったのはどうしてだったんですか?



「色んなことがあった人生の中で、私自身の気持ちとして、もうそこに目をつぶってこれから先を生きていくことができなくなったんですよね。器用に生きてきていたらこうやって話すこともなかったんでしょうけど(笑)、不器用な生き方しかできなかった自分を隠す必要もないし、そうやって頑張って前を向きながら生きている人は世の中にたくさんいる。だから私は、歌という形で誰かの心に刺さるものが届けられたらと思ったんです」

※続きは月刊Songs6月号をご覧ください。

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