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これはベスト・アルバムではない。UNISON SQUARE GARDEN(以下、ユニゾン)の10周年記念アルバム『DUGOUT ACCIDENT』は、ライブで最大の力を発揮してきた楽曲を集大成し、リミックスや再録音、新曲を加えた作品だが、シングルのリード曲を全く収録しない画期的な1枚だ。7月24日に行なわれる初の日本武道館ワンマン公演を前に、ユニゾンを愛する全ての人と、これから彼らに触れる未来のリスナーへ、最高の贈り物となるマスターピースだ。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:宮本英夫

──“シングルのリード曲を入れない”というのは、ある意味ですごく挑戦的なアルバムだと思います。



田淵智也(以下、田淵)「今はみんなYouTubeでシングルの映像を見るのが普通だと思うけど、でも僕らはシングルだけで勝負してきたバンドではないので。とはいえアルバムを全部聴くのも大変だろうから、バンドの歴史が分かりやすくまとまっている1枚があればいいなと思って、1年ぐらい前から準備していました。ちょうど10周年だし、武道館も決まったし、みんなも盛り上がってくれるかな? と思ったので」

斎藤宏介(以下、斎藤)「やっぱりユニゾンはライブありきのバンドだと思うんですよ。ライブの中で培ってきた大事な曲がちゃんと入っているのが、すごくいいことだなと思うのと、あとは数曲、ライブではあんまりやっていないけれど、実は大事にしてきた曲というのもあるんですね。例えば『さわれない歌』とか、『誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと』とか。そういう曲がこのアルバムを引き締めてくれているなという印象です。改めて聴いて思ったのは……10年やってきて、同じことをずっとやってるなと(笑)。悪い意味じゃなくて、こうやって1枚にまとめてもブレていないのは、同じことをずっとやってきたおかげだと思うし、今やっと花開いた……とまでは言えないかもしれないけど、続けてきた甲斐があったなという思いがあります」

──『フルカラープログラム』を始め、再録音した曲については、どんな思いがありますか?

鈴木貴雄(以下、鈴木)「今もずっとライブでやっているから、やってるままを録ったらこうなったという感じですね。今やってることしか入っていないから最新のアルバムという感じです。6枚目のアルバムと言っていいんじゃないですか? そうしましょう」

──そうしましょう(笑)。新曲も4曲入っていて、まず1曲目の『アンドロメダ』は、ストリングスと歌だけの壮大なバラード。斎藤くんの歌の表現力が素晴らしいです。

斎藤「今までと全然違うやり方で、大変だったけど楽しかった。他の曲はパートごとに歌ったりしているんですけど、これはできるだけストーリー性を作りたくて、最初から最後まで一気に歌ったんですよ。この曲は一番小さいところから、少しずつクレッシェンド(だんだん大きく)していって一番壮大なところまで行くので、それを歌でもやりたかったんですよね」

──リード曲になっている『徹頭徹尾夜な夜なドライブ』は、ラテンのリズムが楽しい軽快な曲です。

鈴木「もともとラテンのリズムは練習していたので、やりやすかったです。パーカッションを結構重ねましたね。こういう曲がシングルで出せるようになると、バンドとして強いですよね。最近はこういう曲が増えてきて、『天国と地獄』とか、『シュガーソングとビターステップ』とか、楽しくて分かりやすいリズム感のものが多くなって、色々遊べるようになったのが嬉しいです」

──『夕凪、アンサンブル』は、初めて音源になりますけど、実はインディーズ時代の曲だとか?

田淵「そうです。アマチュアの時に作った曲で、当時はゆっくりで長い曲はそんなになかったから、珍しいタイプの曲だったんですけど、今から見ても珍しいと思いますね」

──なぜ今まで、音源にしなかったんですか?

田淵「別に封印するつもりはなかったんですけど、一回メジャー・デビューしちゃうと、昔の曲を入れようという発想がイヤになるんですよ。インディーズ時代から知っているスタッフもこの曲を好いてくれていて、“あの曲入れようよ”という話が時々出たんですけど、“それは新曲が良くないということか?”とか思ってしまって(笑)。でも今回はセレブレーション的なアルバムだから、入れてもいいかなと思ったんですよね」

斎藤「久し振りにやりましたけど、いい曲はちゃんと覚えているものですね。バンドにとって大事にしてきたものは、ちゃんと残っていくんだなと思います」

※続きは月刊Songs8月号をご覧ください。

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