安藤裕子の新作『頂き物』は、スキマスイッチ、TK from 凛として時雨、Chara、DJみそしるとMCごはんなど、バラエティーに富んだアーティストが楽曲を提供したコラボレーション・アルバム。個性とセンスに溢れた楽曲によって“シンガー・安藤裕子”の多彩な魅力が楽しめる作品に仕上がっている。このアルバムのリリースに際し、『Touch me when the world ends』の作曲を手掛けた大塚 愛との対談が実現。個性的なシンガーソングライター2人によるトークを楽しんでほしい。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──大塚 愛さんは安藤裕子さんのニュー・アルバム『頂き物』に収録された『Touch me when the world ends』の作曲を手掛けています。お2人の交流が始まったのは、大塚さんが安藤さんのライブに行ったことがキッカケだったとか。



大塚 愛(以下、大塚)「そうですね。子どももある程度大きくなってきたので、他の方のライブにも行ってみようかなと思って。それがちょうど2年くらい前かな」

安藤裕子(以下、安藤)「うん。それまではほとんど交流がなかったんですよ」

──それが今では温泉旅行に行くほどの友達になった、と。

安藤「お互いに子どもがいるから、ゆっくり話をしようと思ったら、泊まりに行くしかなくて。子どもが寝たあと、部屋の電気を消したまま、小声で“どうですか?”みたいな話をするっていう」

大塚「修学旅行の夜みたいな感じですね(笑)」

──女性シンガーソングライターって、フェスやイベントも多くないし、そんなに仲良くなる機会がないのかも。

安藤「デビューから10年くらいは、ほとんど知り合いがいなかったんですよ。この2年くらいですね、他のアーティストの方と交流が増えたのは」

大塚「私も自分から話しかけるのは苦手なんです(笑)。私が“いいな”と思ってる人って、私の友達が好きな場合も多いし…」


安藤「それは恋愛の話(笑)? まぁ、大人になると人間力もそれなりに上がってくるし、人と話すスキルも身についてきますからね」


──では、『Touch me when the world ends』について聞かせてください。もともとは大塚さんのほうが“安藤さんに合いそう”と思ったということですが、いつ頃作った曲なんですか?

大塚「覚えてないんですよね。いつの間にかパソコンの中に入っていて」

安藤「いつ作ったかなんて、覚えてないよね(笑)。私なんてボイスレコーダーに吹き込んで、そのまま放置してますから。“縁があったら、また思い出すだろうな”って」

大塚「それもすごいね(笑)」

──(笑)。大塚さんが『Touch me when the world ends』を安藤さんに歌ってほしいと思ったのは、どうしてなんですか?

大塚「う〜ん…。私は見た目にしても声にしても、どうしてもポップな部分が前に出がちなんですよ。映像に例えると、映画というよりもテレビドラマというか。でも、この曲ができた時は“これは映画だな”って思って」

──その話で言うと、安藤裕子さんは映画タイプ?

大塚「うん、映画ですね」

安藤「あ、それは嬉しい」

大塚「ちょっと重めの曲だから“これをどう料理したらいいかな?”って考えた時に、映画的なテイストがほしいなって……これはちょっと説明が難しいんですけど(笑)。あと、私の声はどちらかというと“助けてあげなくちゃ”みたいなイメージみたいで」

安藤「カワイらしい感じだからね」

大塚「この曲はそうじゃなくて、強さがあったほうがいいと思ったんです。山の一軒家でも1人で生きていけるような…」

安藤「そんな寂しいのはイヤだな(笑)」

大塚「(笑)。凛としたところがほしいってことかな。ただ強いだけじゃなくて、しなやかさ、透明感、切なさが入っていないと、この曲は成立しないと思ったし」

※続きは月刊Songs2016年4月号をご覧ください。

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