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“新しい清水翔太の誕生”。そんな手応えを感じさせる、刺激的なアルバムである。シングル『花束のかわりにメロディーを』(2015年10月)、『Damage』(2016年2月)を含むニュー・アルバム『PROUD』。ヒップホップ・サウンドを大胆に取り入れた音楽性、リアルな手触りを増したリリック、オートチューン(音程を補正する音楽ソフト)を多用したボーカルアレンジが1つになった本作は、彼の新たなキャリアを明確に告げている。“自分自身を誇る”というテーマを軸にした『PROUD』について清水翔太自身にじっくりと語ってもらった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──ニュー・アルバム『PROUD』、本当に衝撃的でした。まずはヒップホップのテイストが大幅に増えた理由から教えてもらえますか?



「もともとヒップホップは自分の中にあったもので、それをどういうふうに出していくかをずっと考えていたんですよね。今まではライトでカワイイ感じのラップが多かったんですけど、僕の中にはもっと毒々しい部分もあって……それを出すのはけっこう難しかったんですよ。ただ、去年の2月にベスト・アルバムを出してひと区切りという感じもあったので、そろそろ次のステージに向かうべきだなって。これまでの音楽は“誰かのために”という気持ちで作ってたんですが、今回は完全に自分のためにやってるんですよね。それが共感を呼べば、一番強いだろうし。もちろん怖さもあるんだけど、否定されても肯定されても、全てを受け入れる準備はできているんですよね。“今、自分がやりたいのはコレだ”っていう、良い意味でアーティスティックになれていると思います」

──それにしても攻めてますよね。今のメジャーのアーティストで、ここまで本格的なヒップホップ、R&Bを体現している人はいないと思います。

「自分の中には客観的な視点もあるから“これでホントにいいのかな?”って思ったりするんですけどね(笑)。ただ、僕自身はこのアルバムで日本の音楽シーンに風穴を開けたいと思っているんですよ。一番のポイントは歌詞でしょうね。ヒップホップやR&Bのテイストはサウンドで表現すればいいんだけど、歌っていることはアーティストのイメージに直接関わってくることだから。例えば今回の歌詞はほとんど“俺”で歌っているんですよ。今までは“僕”が多かったから、そこは全然違いますよね」


──確かに“俺は…”と歌うのと“僕は…”と歌うのでは、受ける印象が全く違いますね。

「そこは腹をくくって勝負したいな、と。歌詞を書くのが最高に楽しかったんです、今回。“何を言ってもいい”という感覚もすごくあったし、自分が好きな“韻”にもこだわって」


──今回のアルバムのスタンスをもっともダイレクトに示しているのが、タイトルチューンの『PROUD』だと思います。“本当の僕ならここにいる/だから BE PROUD”というフレーズは、今の清水翔太さんを象徴してますよね。



「うん。一番言いたいことが出てると思いますね、『PROUD』には。ここまで尖ったアルバムを作れたのは、自分自身がいい意味で大人になったからだという実感があるんですよ。周りにいてくれる人に信用してもらって、その人達を自分も信じて。だからこそ、音楽的に尖ったことをやれるんですよね。前はそうじゃなかったんです。周りの人達に対して尖ってしまって、作品は丸くなるっていう……それはたぶん、怖かったからだと思うんですけどね」


※続きは月刊Songs2016年4月号をご覧ください。

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