赤い公園 *撮り下ろし3ページ |
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──新作『純情ランドセル』は、眼鏡のレンズの度がバシッと合ったようなアルバムですね。痛快で、何度も聴きたくなります。
全員「嬉しい!」
津野米咲(以下、津野)「前回のアルバム(『猛烈リトミック』)は曲順もパッと決まってる状態で、タッと録ってドーンと出すみたいな(笑)、計画通りに作ってその通りに出せたアルバムだったんですね。でも今回は、その真逆の作り方というか。去年の2月に事務所を移籍して、その頃からアルバムに向けて動き始めたんですけど、1曲録って、ミックスまでの間にライブをやったり、違う曲を録ったりしながらって感じだったんです。曲順も、最後の最後まで決まってなかったし。だから今言われた“眼鏡の度が合ってる”っていうのは、レコーディングだけじゃなく、それ以外のこともやりながら、無理のない範囲でやることができたからだと思うんですよね。過度に見栄を張ることもなく、毎日毎日赤い公園として生活して、その生活の中にレコーディングがしっくり入っていたからかなって」
──なるほど。
津野「前作が自分の好きなものを詰め合わせられるバイキングみたいなものだとしたら、今回はコース料理みたいになるといいなというのもありました。で、どこでも、いつでも、誰とでも、小さい音でも大きな音でもずっと流しておけるような、それくらい身近なものになっていたらと思うんですけど」
──その感覚、間違いなくありますね。昨年11月にリリースされたシングル『KOIKI』の手応えみたいなものも大きかったですか?
津野「やっぱり久し振りのリリースでもあったので、勢いをつけることはできましたね。だったら他の曲達も、もっと自然に、曲に忠実にやっていいんじゃないかって思えたというか。色々、もっと素直にやれるようになった気がする」
藤本ひかり(以下、藤本)「『KOIKI』を受け入れてもらえたことはすごく大きい」
佐藤千明(以下、佐藤)「うん。(前作の1曲目に収められた)『NOW ON AIR』からのいい流れで『KOIKI』が出せたし、そこでちゃんと、今までついてきてくれてたお客さんに届いてるなっていうのも実感できたんですね。津野が聴かせてくれる新しい曲にもそういうモードを感じていたので、自分達も気持ち良く、心を込めてレコーディングできましたね」
歌川菜穂(以下、歌川)「でき上がってから死ぬほど聴いてるけど(笑)、本当にいいアルバムになった!」
──異議なしです(笑)! そのアルバムからまず『Canvas』がシングルとしてリリースされましたが、すごい曲作っちゃいましたね。
津野「ありがとうございます(笑)。たまたまだったんですけど、この曲のイントロができた時、ヨナ抜きっていう鍵盤の黒鍵を弾いた時の音階だったんです(※ドレミファソラシの4つ目“ファ”と7つ目“シ”を抜いた音階)。無理なところは縛らないけど、できる限りヨナ抜きでやっていこうと思ってメロディーを書きました。日本の歌に多い音階なんですけど、春はやっぱり日本の特別なものな気がするし、侘び寂びが出るといいなと思って作りましたね」