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4オクターブの音域を持つシンガー、ZYUN.。心に降りてくる言葉とメロディーを独特の世界観で形にするソングライターであり、視覚的な面からも自身の感性を表現できる、多彩な才能を持ったアーティストだ。そんな彼が、ミニ・アルバム『混合シナプス』でいよいよメジャー・デビュー。これまでの音楽活動を支えてきてくれたファンへの思い、歌への向き合い方など、興味深い軌跡を語ってくれた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──音楽の面はもちろん、ファッションブランドのデザイナーやスタイリストなど幅広いジャンルで活躍されていますが、その中で、この音楽活動はZYUN.さんにとってどういうものですか?



「僕は、ステージの上が一番生きやすいんです。音楽が生まれる瞬間はきっと、正しい息が吸えてる気がするんですよね。それ以外のことは、どちらかというと得意分野ではないというか。とはいえ、生まれてからずっと音楽がやりたいと思ってきたわけではないんですけどね」

──てっきり音楽一筋なのかと思ってました。

「全然(笑)。ずーっと、学校の先生になると思ってたんです。僕は色んな人の意見を聞き入れてしまうし、通り過ぎるだけでも、目が合うだけでも、その人の何かを感じ取ってしまうから、簡単な説明でみんなが納得する答えのある数学の教師になりたかったんですよ。数学は、その問題に対して困っている人がいれば答えに導いてあげられるし、答えが出ることでその人も救われる。分かりやすく人と向き合えるものだなと思っていたので」

──なるほど!

「でも、作曲もちょっと数学と似てるようなところはあるんですけどね」



──作曲にも理論がありますからね。

「僕、理論は全然分からないんです(笑)。でも音楽だって、1小節に音符がいくつとかで成り立ってるわけですから、数学的だよなっていうのはすごく感じていて」

──曲はいつから作ってるんですか?

「小学校ぐらいから書いてました。楽器を使ってとかではなく、ノートに書いたものがメロディーになってるっていう。でも歌に関しては、“あ、これが僕の使命なんだな”って感じる出来事があったんです。すごく不思議な体験をしたというか」

──どういうことですか?

「僕はずっと、自分の声がすごく嫌いだったんです。僕は自分自身をちゃんと理解していないといけないと思っていたから、自分に対しての好きとか嫌いがもともとハッキリしてたんですね。声だけじゃなく、写真を撮られるのは好きじゃないとか、容姿に触れられるのがすごく苦手だとか。だけど、その嫌いなものをだんだん求められるようになってきて。ヘンな言い方ですけど、評価されるものが全て、自分が“苦手”とか“好きではない”ところになっていったんです。嫌いなものを好きにならなきゃいけないって、普通はすごく苦痛を伴うじゃないですか。でも、そうやって求められることに応えるのは、しんどいことじゃないんだって思わされた瞬間があったんですよ。それが去年の3月で」

──赤坂BLITZでライブをされた時ですね。

「僕はファンの子達を“愛の最上級”という意味で“LOVest”と呼んでるんですが、LOVestのみんながそう思わせてくれたんです。言ってみれば、冷たい意味ではない他人である誰かによって、こんなにも自然と自分が変わるなんて初めてだった。それで、これまでずっと背を向けて断ってきた場所にちゃんと向き合おうと決め、今のレコード会社の方と話をしたんです」

※続きは月刊Songs2016年5月号をご覧ください。

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