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KREVA、木村カエラといったトップ・アーティストから絶賛され、ヒップホップのファンだけではなく、J-POPユーザー、ロックファンからも高い支持を得ているSALUからニュー・アルバム『Good Morning』が届けられた。『Tomorrowland』(tofubeats)、『Lily』(Kenmochi Hidefumi/水曜日のカンパネラ)、『タイムカプセル』(SHINCO/スチャダラパー)、『In My Face』(mabanua)といった豪華なプロデューサー陣とのコラボレーション楽曲、そして、女性シンガーをフィーチャーした『All I Want feat.Salyu』『ビルカゼスイミングスクール feat.中島美嘉』を収録した本作。初のセルフ・プロデュースとなったこのアルバムの制作プロセスにおいてSALUは、自らの意思によってネガティブからポジティブへの変換を行なったという。そこから生まれた新たな表現をぜひ、しっかりと受け止めてほしい。
また、SongsNetでは、3月6日(SALUの日)にレッドブル・スタジオ東京ホールにて開催された『Good Morning』 プレミアム先行リスニング・イベントの模様をオンエア!〜
Photo:笹原良太 Text:森 朋之

──ニュー・アルバム『Good Morning』には様々なクリエイター、シンガー、ミュージシャンが参加しています。SALUさんにとっても初めてのトライですよね?



「はい。こういう形態のアルバムにはずっと興味があったし、“いつかはセルフ・プロデュースで、色んな方々と曲作りをしてみたい”と思っていたんです。今まではBACHLOGICさん、OHLDさんと一緒にやってきたんですが、前作(2ndアルバム『COMEDY』/2014年5月)を作り終えた時に“(セルフプロデュースで)ぜひやってみたい”という話をして。周りの皆さんにも“絶対やったほうがいい”と言ってもらえたので、思い切ってやってみることにしました」

──新しい変化を欲していたということですか?

「そうですね……前作の『COMEDY』を出して、このアルバムを作り始めるまでに1年かかってるんですけど、その時期は“自分は何がやりたいんだろう?”という悩みの時期だったんです。すぐ勘ぐっちゃうというか、考えすぎるところがあったし、性格的にも閉じていて。なるべく人と関わらないようにしてたんですけど、そういう自分を変える時間が必要だと思って。音楽のこともそうだし、生活とか考え方とか…」

──具体的にはどんなことをやってみたんですか?

「以前は夜に曲を書くことが多かったんですけど、朝ちゃんと起きて、ごはんを食べて、歯を磨いて、掃除して、昼前くらいにスタジオで曲作りを始めたり。美術館に行ったり、映画を見たり、色んな人に会って話を聞いたり、あとは車の免許を取ったりもしましたね。海外にも行ったし、生まれ故郷の札幌に帰って、色々考えたりとか」

──行動を変えると見えるものも自然と変わってきますからね。

「そうなんですよね。スタジオに行くまでにすれ違う人だったり、ラジオやテレビから聴こえてくる音楽だったり。そうやって新しいことを重ねることで、今までの自分を1回壊したかったんですよね。それをやっていないと、結局、今までの延長線でしか制作ができないと思ったので。変わるキッカケになったのは、周りの人達だったんです。近くにいてくれる人と何げない会話をしている中で、“このまま悩んでいても何も生まれないな”ということに気付いたので。自分から今の状況を抜け出して新しい作品を作らないと、支えてくれるスタッフの皆さんも仕事ができないし、僕の音楽を楽しみにしてくれている方々に新しい曲を届けることもないなって。自分の中にある不満や不安、怒り、悲しみ、痛みを抱えたまま、そこから抜け出るというか」



──なるほど。

「ずっと内在的な葛藤を表現することで曲にしてきたんですけど、今回はそれを内側に抱えたままで、ネガティブをポジティブに転換するという発想ですね。だから今回のアルバムは前向きなイメージの曲が多くなったんだと思います。“ネガティブ発、ポジティブ行”というのが重要だったんですよね、自分にとっては」

──tofubeatsさん、Kenmochi Hidefumiさん、SHINCOさん、mabanua さんなど、素晴らしいプロデューサー、トラックメイカーなどが参加しているのもこのアルバムの魅力ですよね。皆さん、すごく個性を活かしたトラックを提供していて。

「そうですね。その上で僕の雰囲気に合うトラックを考えてくれているんだと思います。ラップを乗せるのがすごく楽しかったし、発声とかフロウ、言葉選びもけっこう変わったと思いますね。例えばSHINCOさんがトラックを作ってくれた『タイムカプセル』は、スチャダラパーのBOSEさんっぽいフロウ、発声でやってみたんです。今までだったら“イヤがられるかもしれないな”って避けてたと思うんですが、“やりたいんだから、やってみよう”と思って。楽しかったですね」



──リリックの内容自体も広がっているんじゃないですか? 例えば『Nipponia Nippon』には現在の日本の状況、その中で感じる問題点、危機感などが反映されていて。

「そういうことはあまり言ってなかったですからね、今まで。こういう内容に言及すれば批判が伴うし、“言わないほうが賢いな”と思っていたので。でも、ラップはレヴェルミュージック(既存の価値観、体制に対する反抗、反逆の音楽)と言われていて、社会の風潮、思想について意見を提示することが正義だとされている音楽ですからね。“そういうものは自分の中にない”と言えばウソになるし」

※続きは月刊Songs2016年5月号をご覧ください。

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