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オリジナル・アルバムとしては『Sogno(ソーニョ)〜夢〜』以来、約2年振り。彼ならではのポップオペラはもちろん、オリジナル曲も3曲収録した1枚『MESSAGE』が8月24日にリリースされることになった。そこに込められたのは、彼に関わる全ての人への感謝。今の彼だから表現できた味わいある作品になっている。
Photo:駒井夕香 Text:髙橋栄理子

──お久し振りです! 月刊ソングスに登場していただくのは、ワーナーミュージックに移籍してから初めてですね。

「そうなんですよ。僕も月刊ソングスにまた出ることができて本当に嬉しいです。ずっとお世話になっている雑誌なので、これからも末永くよろしくお願いします」

──こちらこそ。今回はニュー・アルバム『MESSAGE』についてお話を聞きたいと思うんですが、このタイミングで、こういうタイトルをつけたことにも意味がありそうですね。

「移籍してからリリースしたのはシングル1枚だけだったので、アルバムまで辿り着くのに2年くらいかかってしまったんですね。その分、ファンの方は今回のアルバムを首を長くして待っていてくださったと思うんです。だからこそ僕は、音楽を通して色んなメッセージを伝えたいと思っているということをこのアルバムで表現したかった。それでこの言葉をタイトルにつけさせていただいたんです」

──今回は全10曲が収録されているわけですけど、1曲目の『何でもいいのさ〜to tell you the truth〜』は、とても軽快な楽曲。しかも全編ポップスの歌い方なので、すごく軽やかなスタートだなって思いました。

「実はですね、この曲はデビュー曲の『ダッタン人の踊り』の頃からプリプロをしていた曲なんです(笑)。パッヘルバルの『カノン』をモチーフにしているんですけど、ちょっとAORっぽくて、藤澤っぽくないとも言える新境地の曲になってますね。だから、この曲では歌い方でもグルーヴにこだわりましたし、オペラの歌唱法も入れなかったんです。今って、音符通りに仕上げるために、何回もテイクを繰り返して、いいところだけを切り取って繋げたりするじゃないですか。でも、この曲に関しては、ちょっとムラがあっても、このグルーヴ感がたまらないよねっていうものにしたかったので、1回で歌いました。もしかしたらポップオペラを求めている人には物足りなさがあるかもしれないんですけど、このグルーヴの中にも藤澤ノリマサの世界があるんじゃないかなって僕は思っていますね」

──ライブにピッタリな楽曲だと思いますし、デビューの頃から温めていたなら、やっと日の目を見て良かったですよね(笑)。

「本当に(笑)。もう10年前くらいからあったので、この曲を書いた人は、“今か!”って驚くんじゃないかと思います(笑)。歌詞も、僕が20人くらいしか入らないライブハウスで歌っていた頃から一緒にやっているサウンドプロデューサーの柏原さん(kassyi)が書いてくれてるんですね。だから、そういう意味でも感慨ひとしおっていう感じです」

──2曲目に入っているのがオリジナル曲の『You may cry 〜それがあふれる涙なら』。この曲は、アレンジがすごく面白いですね。

「ノスタルジックな感じなんですけど、一切ストリングスを使ってないんですよ。和の楽器を重視して作ったので、そこが新しいと思いますね。歌詞は松井五郎さんが書いてくださったんですけど、松井さんとやりとりさせていただいている時、温かさを大切にしたいなって思ったんです。人って、例えば小さい時にかいだ匂いとかを、ふとした瞬間にかいだ時、その頃の気持ちに戻ったり、忘れかけていたものがバーッと蘇ったりするじゃないですか。この曲が、その匂いみたいなものになったらいい。聴いてくれた人が懐かしい何かを思い出して、優しい気持ちになってくれたら嬉しいです。だから歌い方もあまり張り上げず、温かさを大事に歌ってみたっていう感じですね」

※続きは月刊Songs2016年9月号をご覧ください。

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