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ソロ7枚目となるシングル『走れ 走れ』と、約2年振りとなる2ndソロ・アルバム『Decoration Tracks』(通称:デコトラ)を2か月連続でリリースするファンキー加藤。今年はFUNKY MONKEY BABYSのデビュー10周年ということもあり、10年前の自分と向き合うことをテーマに楽曲制作が行なわれてきたようだ。「よくぞここまで」と「まだまだこれから」が交差する現在の心境を語ってくれた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──新曲『走れ 走れ』のジャケット、気のせいか加藤さんが若いんですけど(笑)。



「あははは! 実はこれ、10年前の写真なんですよ。(FUNKY MONKEY BABYS=ファンモンのデビュー曲)『そのまんま東へ』で使用していたアーティスト写真なんです」

──どうしてまたこの写真を使おうと?

「今年はファンモンがデビュー10周年だったんですけど、これはその締めくくりにもなるシングルなので、ちょっと面白いことができないかなってことで。ジャケットで使われてるのは10年前に八王子の駅ビルの屋上で撮ったものなんですけど、10年経った今年、同じ場所で撮ってきた写真も使ってます。屋上の景色は変わっちゃってるけど、僕が乗ってる子ども用の車は同じものをわざわざ用意してもらったんですよ」

──10周年というのはやはり大きかったですか?



「そうですね。取材などでこの10年を振り返る機会も多くて、必然的に過去と向き合う時間にもなりましたからね」

──でも過去を振り返るだけじゃなく、前へ前へと進む気持ちが今回のタイトルにも表れてるなと思いましたが、今回は、本誌にも何度かご登場いただいているシンガーソングライターの大知正紘さんとの共作なんですよね。

「はい。大知くんとはこれまでも楽曲制作はしてたんですが、今回やっと形にできたんです。最近は『MUSIC MAGIC』(2015年10月)、『中途半端なスター』(2016年2月)、『ブラザー』(同年6月)と、いわゆるファンキー加藤ど真ん中の曲──首筋に血管を浮き上がらせながら拳を握って歌う作品が続いていたので、またちょっと違う側面が出せたらなと思ってたんですよ。そしたら大知くんから、この柔らかくて温かいムードを持ったデモが届いて」

──シングルとしては珍しいタイプの楽曲ですよね。

「そうなんですよ。でも“ファンキー加藤とは”というのをある程度皆さんに知ってもらえてるんじゃないかと思ったし、僕的にもファンキー加藤の中心部分に関しては10年やってきたって自負もあるので、そこから少し離れたとしても迷子になることはないかなと思ったんです。あとはライブですよね。こういう曲があると少し体力回復できるので(笑)」

──加藤さんの場合、そこは重要ですね(笑)。

「もう意図的に肩の力を抜けるような曲を作っておかないと、3時間のワンマンはもたないので。大知くん、ステキな曲をありがとう(笑)!」

──(笑)。歌詞についてはいかがですか?

「10年前、デビュー前後の自分自身を思い浮かべながら書きました。10年前の自分と10年後の自分で、エールを交換し合うようなイメージで」

──“もしも 26、7の自分に出会えるとしたら 心の中 映る未来を教えてほしい”という歌詞がありますが、過去の自分に“教えてほしい”と問いかける視点が面白いなと思いました。

「自分では変わらない気持ちのままでいるつもりだけど、やっぱりね、もう忘れてしまってることもあるんですよ。それこそ、この前のベスト(『FUNKY MONKEY BABYS 10th Anniversary Best “COMPLETE BEST”』)で10年前の自分のライブを見た時、ちょっとショックを受けたんです。むちゃくちゃな、明日のことなんて何も考えてないスタイルのライブに」

──なるほど。



「たかが10年、されど10年。よくまぁ走ってこられたなぁっていうのと、まだまだここからもう1歩という気持ちのどちらもが、この歌詞には反映してるのかなと思います」

──だけどこれまでがむしゃらに走ってきた意味での“走れ”と、この曲にある“走れ”は少しニュアンスが違うようにも感じました。

「そうです、そうです。このタイトルを発表した時にファンの皆さんからいただいたコメントを見てると、やっぱり激しくて汗だくみたいな曲ってイメージを持たれてたみたいなんですね。そこはいい意味での裏切りにもなったかなとは思ってるんですけど、何て言うか、もうちょっとこれは自分の内面みたいなニュアンスというか。10年前の自分にはなかった、自分が経験してきたこととか見てきた景色があるから出てきたような“走れ”なんです。ちょっと上手く言葉にできないんですけど」

※続きは月刊Songs2016年11月号をご覧ください。

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