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世界最高齢のアマチュア・オーケストラ楽団のメンバー達と、若き女性バイオリニストが出会い共に成長していく痛快クラシック音楽エンタテインメントムービー『オケ老人!』。主人公・千鶴を演じるのはシリアスからコメディーまで幅広い演技が魅力の杏、そして千鶴の同僚で後輩の英語教師・坂下くんを演じるのは連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)の星野役も好評だった坂口健太郎。坂下くんを魅力的に演じた彼に、今作の撮影秘話や自身のクラシック音楽の思い出などを語ってもらった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:奥村百恵

──最初に今作の台本を読んだ時の印象は?



「オケ老人の老人達に元気をもらえるようなお話だなと」

──その老人達をベテラン俳優さん達が演じていました。

「皆さんアドリブで面白いお芝居をされていたのですが、真面目に一生懸命やるからこそ面白いんだと勉強になりました。体育館でのオーケストラの練習シーンでは、皆さんすごく自由にお芝居されていて。でもそれは、物語やキャラクターに関係ないアドリブではなく、皆さんが演じているキャラクターが話しているような自然なものだったんです。それぞれが演じた人物が普段話しそうなことをアドリブのように演じられていたというか。それをまとめていくのが千鶴だったので、杏さんはすごく大変だったんじゃないかなって(笑)」

──杏さんの大変さが想像できるような…(笑)。ちなみに今作で杏さんとは初共演になりますが、いかがでしたか?

「自然に千鶴として現場にスッといる感じが素敵だなと思いました。バイオリンの練習もされていましたが、大変さを表に出すのではなく、役に向けてじっくりと意識を高めていらっしゃる様子でした。役作りのアプローチの仕方がすごく丁寧な方なんだなと思いました」

──坂口さんは坂下くんの役作りのアプローチはどのようにしていきましたか?

「最初に台本を読んだ時は、少しいきすぎた天然の男の子という印象だったんです。不思議な子というか、分かりやすそうに見えて実はフワフワしている。良い意味で楽しそうな感じの浮いてるキャラクターに見えたらいいなと思って演じていました」

──坂下くんと坂口さんはどことなく似ているように感じました。

「プロデューサーさんからも“坂下くんは坂口くんに似てると思う”と言われたのですが、自分では“そうかな〜?”って(笑)。でもそういうふうに僕のことを見てくれてオファーしてくださったのは嬉しかったです」

──坂下くんは基本的に良い子ですしね。

「そうですね。台本を読んだ時に柔らかい感じの人という印象を受けたので、そこは大事にしました。あと相手に緊張感を与えない人なんですけど、そこも僕と似てると言われました。誰とでも自然に馴染んでしまうような雰囲気を持っていて、気づいたらそっと千鶴のそばにいるような男の子という印象を大事にしたくて。そばにいるんだけど、坂下くん自身が気づかない程度に千鶴から少しだけ離れてる存在というか。その距離感の意味は今作を見ていただければ理解していただけると思うのですが、彼の持つ雰囲気や千鶴との距離感を意識しながら演じていました」

──坂口さんはモデルのお仕事もされていますが、役者とモデルではどんな部分に違いを感じますか?

「モデルの仕事では僕の人格というより服を見せることがメインなんです。もちろん僕の名前を立ててくださることもありますが、それは“僕が着る服”ということになるので、役者の仕事とは違う感覚です」

──出演作が続いていますが、オンとオフの切り替えはできていますか?



「忙しさを実感するのは睡眠時間が少ないと感じる時ぐらいです。この前、ある映画監督さんから“坂口くんはすごく自由だよね。良い意味で100%演じる役にならないでいてくれるから”と言われたんです。役を引きずったり憑依型の役者もいますが、僕は5%ぐらいは自分を残していたいと思っていて。僕の中で“95%の役としての自分と5%の僕自身が合わさる”ことで100%以上のものを出せる気がするんです。役そのものになりたいというよりは、演じるキャラクターの考えが一番分かっていて近くに寄り添える人というのが理想なんです」

──5%の自分というのは具体的にどういったことを意識されていますか?

「最初は役のことを考えないで台本を読むのが好きなので、小説のような感覚で読むんです。そしてまた台本を読んで“このセリフは何で出てくるんだろう”と考えることが一番の役作りだと思っていて。極端な話、なぜそのセリフが出てくるのか理解できないままでもいいんじゃないかと。そこが5%の自分という部分なんだと思います。もちろんなぜそのセリフが出るのかは考えますけど、もし本当に何度考えても100%理解できなかったら、それはそれでいいのかなと思うようにしています」

※続きは月刊Songs2016年11月号をご覧ください。

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