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漫画大国日本を震撼させた巴 亮介原作の『ミュージアム』を『るろうに剣心』の大友啓史監督が映画化。史上最悪の殺人アーティスト・カエル男を追う刑事・沢村には小栗 旬、そして沢村と共に連続猟奇殺人事件とカエル男を追う新米刑事・西野を演じるのは若手俳優の中で今最も注目されている野村周平。大友組初参加となった彼に、今作の魅力や現場の様子、そして役への思いなどを聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:奥村百恵

──原作のどんなところに面白さを感じましたか?



「“○○の刑”と称して猟奇的殺人が次々と起こるんですけど、そういった犯罪は実際に起こりうるかもしれないですし、信憑性があって面白いなと思いました。今作ではカエル男が“私はアーティストです”と主張して殺人を犯していて、映画でこういうことを描くことによって、もしカエル男と同じことを考えついた人が実際にいたとしても“映画でやっていたな”と犯行をやめるかもしれない。そんなふうに感じながら原作を読んだらとても興味深かったというか。今までこういう作品はあまりなかったですし、過去の猟奇的殺人鬼を真似して作ってないところが良いなと思いました」

──原作の良さが映像としてしっかりと描かれていると感じました。

「そうなんですよね。原作は3巻で完結ですけど、無駄に長くなくて原作の面白さをギュッと凝縮していると思います。あと大友監督がリアルさをしっかりと描かれる方なので、そこもポイントかなと」

──どんなところにリアルさを感じましたか?

「撮影現場に置いてある物全てにリアルさをとことん追求していると感じました。役者の気持ちを考えてくださってか、冷蔵庫を開けたら本当に飲み物が入っていたり、何気なく置かれている紙に文字が書いてあったり、そういうのは演じる側としてはとてもありがたいです」

──大友監督の現場では他にどんなことを感じましたか?



「大友監督は、監督ご自身も役者の気持ちになって演出してくださるんです。例えば役者が悲しいシーンを演じる時は演出してくださる監督からも悲しさを感じることができる。そんな監督の姿は見ていて新鮮でした」

──猟奇的殺人の犯行現場を見ると吐いてしまう西野ですが、どんなことを意識して演じましたか?

「ただの弱虫な刑事にはしたくなかったので、徹底して“超弱虫な刑事”というキャラクターとして演じてみました 。観客が“この人ちょっとおかしいのかな?”と思ってしまうぐらいいきすぎた弱虫にしたくて。そんなことを意識して演じていました」

──徹底して弱虫な刑事を演じることに迷いはありませんでしたか?

「原作に答えが書いてありますから、そこまで悩むことはなかったです」

──あえて原作を読み込まない役者さんもいますけど、野村さんはしっかりと原作を読み込むほうですか?

「そうですね、しっかり読み込むほうだと思います」

──原作で西野はメガネをかけていますが、野村さんがメガネをかけている姿が新鮮でした。

「僕はメガネをかけている役を演じる時が来たら、友達の神戸(かんべ)くんを参考にしながら演じようと思っていて、今回やっとできました。神戸くんは西野のような弱々しい人ではないんですけど、単純に仕草が面白くて(笑)。常にメガネを直しながら話すので、そういう仕草が面白くてつい真似しちゃうんですよ(笑)」

──身近な人からも役作りのヒントを得ているんですね(笑)。ところで、今作では裁判員制度という今や日本でも他人事ではないことが盛り込まれています。野村さんはそのことについてどんなことを思いましたか?



「確かに今作は裁判員制度がキッカケで起こる犯罪ですよね。でも、僕がこういう作品で一番気になってしまうのは、殺人鬼の気持ちなんです。“なぜこういう殺人を犯すのか?”不謹慎ととられるかもしれませんが、犯人の心理や思考を面白いと思ってしまうというか。もちろん殺人は許されないことですけど、カエル男がなぜアーティストを気取って殺人を芸術作品だと主張するのかという思考回路に興味を惹かれてしまうんです」

──カエル男の心理についてどんなことを感じましたか?

「映画をご覧になると分かるのですが、少なからず家庭環境の影響というのは大きいですし、トラウマというものは自分ではないと思っていても実はあったりするものなのかなと思ったりしました」

※続きは月刊Songs2016年11月号をご覧ください。

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