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地方都市の独身OL・安曇春子の失踪事件の背景と行く末を、“アラサー、ハタチ、女子高生”の三世代の女の子達の生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコの小説『アズミ・ハルコは行方不明』を『アフロ田中』や『スイートプールサイド』の松居大悟監督が映画化。“行方不明の主人公・春子”を演じるのは『百万円と苦虫女』以来の単独主演となる蒼井 優、春子と同級生の曽我役をミュージシャン・石崎ひゅーいが映画初出演ながら圧倒的な存在感で演じている。今作の現場で新鮮な経験ができたという2人に、撮影エピソードなどを聞いた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:奥村百恵

──松居監督と蒼井さん、そして石崎さん。皆さん同世代の現場はいかがでしたか?



蒼井 優(以下、蒼井)「まずクランクインの前日にロケ地となった足利で、スタッフさんや現地入りしているキャスト達と決起集会をやったんです。それまでにひゅーい君とは本読みで2回ほどお会いしていたのですが、その決起集会ではスタッフ含めものすごく打ち解けることができました」



石崎ひゅーい(以下、石崎)「明日から撮影が始まるのに、こんなにお酒飲んでいいのかなと驚くぐらいみんなでワイワイして(笑)。ガチガチに緊張していた僕にとってすごくありがたかったですし、良い時間でした。蒼井さんと最初に会った時は“僕の中の蒼井優像”が一気に吹き飛んでしまうぐらい気さくで、新橋にいる小さなおじさんみたいだなと(笑)。あともうひとつ驚いたのは、蒼井さんがスタッフさん達の名前を覚えてらっしゃって」

蒼井「スタッフさんの名前は覚えるようにしています。間違えてしまったり、覚えきれないと思ったらあだ名をつけたり(笑)。松居組はスタッフさんが毎現場同じメンバーで絆も強いので、一度そこに溶け込んでしまえばすごく居心地がいいんです」

──撮影初日、石崎さんは緊張しませんでしたか?

石崎「初日で僕はレジを打つというお芝居だったんですけど、レジを打ちながら“安曇春子”と言うタイミングが全く掴めず、周りに迷惑をかけてしまいました。頭が真っ白になっちゃうし、蒼井さんのことも待たせちゃってるしでテンパリまくった初日でした(笑)。そんな僕を見ながら笑ってましたよね?」

蒼井「“あ〜!”とか“だ〜!”とひゅーい君が叫んでいて、こんなに頭が真っ白になれる人いるんだなと思って(笑)。私だけじゃなく、みんな孫を見るような目でひゅーい君を見守っていました。曽我というキャラクターはどうしようもなさの中の二面性が面白いので、ひゅーい君がどんなふうに表現するのか楽しみでした。曽我は地味な男だけど突然突き抜けた部分を見せたり、不器用すぎて全力で春子を拒絶したりするので、そういうキャラは演じるのがすごく難しいと思ったんです。でも、撮影前にひゅーい君のライブを観に行ったら、ステージでもお芝居のように色んな曲で色んな表現をされていて。その姿を見た時に曽我を圧倒的な独自の感性で演じてくれると確信しました」

石崎「そんなに褒めないでください(笑)。僕は最初、曽我に関して自分なりに色々考えて役作りして蒼井さんとの本読みに行ったんです。そしたら松居監督に“そうじゃなくて、ちゃんと呼吸をしてくれ”と言われて。どういうことなんだろうと悩んだんですが、何となくその意味というのを撮影に入るまでに自分の中に入れて、それを意識しながら演じていきました」



──石崎さんは以前舞台にも出演されていますが、その頃から映画出演も視野に入れてらっしゃったんでしょうか?

石崎「僕が好きなアーティストは役者として映画に出演されている方が多かったので、その人達に影響された部分が大きいと思います。あと、幼い頃に母親が僕のことを俳優にしたかったみたいで、演劇を観に連れてってくれたり、小劇団に入れられたりして」

蒼井「小劇団って児童劇団のことかな?」

石崎「そうそう! 茨城では小劇団と言います」

蒼井「茨城の人に怒られるよ(笑)」


※続きは月刊Songs2016年12月号をご覧ください。

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