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カバーやベストなどは発表されていたが、オリジナル・アルバムとしては2年5か月振りとなるMs.OOJAの5thアルバム『AGAIN』。溢れ出てくる言葉や感性を大事にしたという本作は、一度空っぽになってしまった自分自身と向き合い、這い上がってくる中で手に入れた“自分らしさ”と“自信”が美しく呼吸をしている、そんな楽曲が詰まったアルバムだ。「シンガーとしても、人生においても大きな転機だったと思う」というこの作品の制作過程を聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──吹っ切れてるというか突き抜けてるというか、とにかく素晴らしいアルバムだと思いました。



「嬉しいです。確かに、吹っ切れて作れたアルバムですね。今回、自分はどんな音楽が好きで、どういう音楽にシビれるかってところを大事にしたんですよ。これまでももちろん自信を持って届けてはいるんだけど、こうしなきゃいけないとか、こういう音楽を届けたらお客さんは喜ぶんじゃないかとか、そういうことを考えすぎてたんです。極端なことを言えば、自分が納得していなくても周りがいいと言えばいい。そう思ってたところも正直あったんです」

──チームとしての判断基準を優先することも、間違いではないですからね。

「でも2015年の『翼』というミニ・アルバムを作ったあと、何も書けなくなったんです。出し尽くしちゃって、書きたいことも、言いたいこともないみたいな。このままじゃダメだ、変わらなきゃと思って、この面倒くさがりでインドア派な私が(笑)、一歩踏み出してたくさんのインプットをするようになったんです。色んな人と会ったり新しい自分の一面を知ったりしていく中でできたのが、このアルバムでもあるんですよね」

──このアルバムの1曲目に入っている『I'm ALIVE』がツアーで披露された時、目の前の景色が一瞬で変わるような感覚を覚えました。あれはいつでしたっけ?

「去年のツアーの時なので、アクティブに動き出す直前だったかな。作ってた時はもうほとんど力尽きていて(笑)、それこそ歌詞にもあるけど“止まらないで このままじゃ終われない”って力を振り絞るしかなかったんです。でも、ある意味挑戦として作った曲だったのに、ライブであんなに盛り上がった。そうか、自分の殻に閉じこもってる必要はないんだなって思わせてくれたんです。それで、一歩踏み出す決心をしたんですよね」


──SNSなどでも拝見してましたが、最近はLAにも行ってましたよね。

「はい。海外旅行とか大嫌いで、そもそも飛行機に長時間乗ってまで海外に行く理由なんてないしって思ってたんだけど(笑)、行ったら何かインプットできるかもしれないって欲が出てきたんです。向こうでは毎日違う人と制作したり、飛び入りでライブしたりして、以前の私だったら考えられないくらいアクティブに動いてたんですよね。“これでいいや”って思ってたらそこまでだし、“イヤだな”と思いながらやってても意味がないって、自分の中で色々気付けたことも大きかった。だから今回のアルバムも、“これ、カッコいい!”と思うものを、自分が“大好き!”と思ったものだけを、詰め込むことができたんです」

──ちゃんと主語が“私”になったんですね。

「そうなんです。“みんな”が主語になってるものも必要だと思うけど、それってきっと“いい歌だね”であって、“魅力的なもの”ではない気がするんですよね。そう、もっとわがままでいいんだなって思えたんです」



──そういった自分自身の変化や、制作過程の気持ちなどを象徴している曲はありますか?

「『You are Beautiful』ですね。曲はRyosuke“Dr.R”Sakaiさんとの共作なんですけど、自分の思いとか、こういうのがやりたかったんだ! っていうのが爆発した曲です。売れるとか売れないとか(笑)、ファンが好きそうなものとか一旦無視して、自分の好きな曲を作ろうと。私が今一番伝えたいことを歌詞にしました。日々生きていく上で、色んなことで心が傷つくことは誰しもあると思うんです。でも、いくら傷つけられたって、その心は誰にも何も奪えないし、魂は自分だけのもので、何にも代えられないぐらい美しいんだってことを自分の中で大切にして生きれば、世界はそんなに悪いもんじゃない! “分かるよ!!(私も一緒だから)”。日々生きるってツラいけど美しいじゃん! って、伝えたかったんです! それが制作合宿の中で溢れ出てきて、2、3時間で全部作り上げた曲です!!」


※続きは月刊Songs2016年12月号をご覧ください。

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