http://onso9line.com/
3年振り、8枚目のオリジナル・アルバムを完成させた音速ライン。好きな音楽を聴いていると時間が短く感じられることから、ミュージシャンは魔法使いと似ているという考えと彼らの音楽的ルーツの1つである“ヘヴィメタル”からヒントを得て、タイトルは『鋼鉄の魔法使い』と付けられた。歌詞もサウンドもより幅広くなった12の収録曲について、藤井敬之と大久保 剛に聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:田中隆信

──ニュー・アルバムは『鋼鉄の魔法使い』というインパクトのあるタイトルになりましたが、アルバムの内容も、タイトルに負けずインパクトが強いというか、個性的な曲が多いですね。東日本大震災以降のアルバムの曲は震災や復興に寄せた曲が多かったですし、それはそれで出すべきタイミングだったので必然だったとは思いますけど、今回はメッセージ性のある楽曲だけでなく、遊び心の入った曲も多いように感じました。



藤井敬之(以下、藤井)「はい。福島に住んでるので震災は切り離せないんですけど、正月に兄貴と話した時に“最近のアルバム、聴くと泣いちゃうから聴けないんだよ”って言われて。なので、次は聴いて楽しくなって、ライブに行きたくなるようなアルバムにしたいなって思ったんです」

──収録曲について順番に聞かせてください。まずは『SO-MA』から。

藤井「(福島県)相馬市のことを歌っています。震災から5年ぐらい経って、いまだに入れない地区があるけど、みんな歩み始めているというのを伝えたかったんです。湿っぽくならないようにアップテンポな感じで。このサウンドだったら聴いてても悲しくならないし、ライブでもみんな盛り上がれると思うんです。でも、メッセージはいつの間にか染みてるって感じにしたくてこういうアレンジにしました」

大久保 剛(以下、大久保)「ずっとテンポが速くてガシガシ前に進む感じのサウンドなので、個人的にもすごく気に入ってます」

──2曲目の『アネモネ』はどういう想いが込められた曲ですか?

藤井「お世話になってた方が立て続けに亡くなった時期があって、会いたくても会えないんだなって思ったら、今日を大事にしたほうがいいなって。そういう気持ちで書いた曲です。この曲、剛くんのイチオシだったよね?」

大久保「うん。日々大事に過ごしていれば、そういう悲しいことも受け止めながら前に進むように生きられるんじゃないかなって思うんです。アレンジは結構迷ったんですけど『SO-MA』と同じく、しっとり聴かせるよりテンポよく聴かせるほうがいいなと思って、最終的にはアップテンポなものになりました」

藤井「アルバム全体に言えることですけど、しんみりしたくない気持ちがあったのかも」



──3曲目は『run run run』。

藤井「そういう気持ちも全部踏まえつつ、走るしかないなって。ボブ・ディランじゃないけど、転がり続けるしかないんだったら走れ! って。大人になってるつもりはなかったけど、いつの間にか大人になっていて。それを自覚する必要もないけど、みんな走り続けてるわけで、思えば『ナツメ』(2006年3月リリースの4thシングル)の頃から思ってることは変わってないんだと思います」

大久保「前を向いてる感じがあって、それがプラスになると思うので、ライブでみんなに浸透させたい曲の1つです」

──そんな流れからの『ウーロンハイ』。以前、ビールの曲(『Beer can』)がありましたけど、炭酸はもうキツいから、今度は『ウーロンハイ』ですか!?


※続きは月刊Songs2016年12月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く