http://www.shionoya-sayaka.jp/

1stアルバム『Luna』から約2年。塩ノ谷 早耶香の2ndアルバム『Mist-ic』が完成した。彼女の代名詞とも言える切ないバラードや、昨年チャレンジしたアップテンポでキュートな側面。極端な振り幅を対比させながら音楽的に深く掘り下げた今作は、表現者としてはもちろん、22歳になった1人の女性としての魅力も伝える等身大な作品だ。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──昨年は制作もライブもすごく充実してましたよね。



「はい。フィンランドで行なわれたCo-Writeキャンプ“A-pop Castle”に参加して曲作りをしたり、福岡と東京で初のワンマンライブをしたり、本当に充実していました」 

──フィンランドでの経験は、その後の制作にとってもいい刺激になったようですね。

「そうですね。滞在したのは5日間だったんですが、そこで1日1曲、計3曲作ってきたんです。行くまでは日本人特有のシャイな感じというか、大丈夫かなぁ、やれるかなぁって思う部分もあったんですが、実際に行ってみたらもうそんなことを言ってる場合じゃなくて(笑)。海外の方達の考え方って、恥ずかしいとかがないんですよね。自分のアイデアをどんどん出すし、出されたものに対しても“それってどうなの?”みたいな感じが全くない。“いいね! じゃあ、こういうのもどう?”ってやり方がすごくいいなと思ったんです。でもその波に乗るには、自分もどんどん発言していかなきゃ置いていかれる。自分の考え方としても、制作に対する向き合い方みたいなところも、改めて根本ができ上がったような経験でしたね」

──今回のニュー・アルバム『Mist-ic』は、そういった過程の中で完成したんですね。

「昨年12月にシングルとしてリリースした『魔法』を最初にプリプロしつつ、今回のリード曲である『BELIEVING』や『YOU&ME』、『GOOD BOY』といった新曲のトラックを作ってきました。今回のアルバムって、塩ノ谷 早耶香の一番ツラく切ない部分とポップでハイなところの両方が見てもらえるんじゃないかなって思ってるんです。歌い方とかも曲によって変わっていきますけど、例えば『YOU&ME』と『魔法』なんて完全にハイとローの極端なところが出ていて、『YOU&ME』はデビュー・シングルの『Dear Heaven』を作ってくださったマシコ タツロウさんと一緒に作ったんですが、遊び心も満載! 楽しみながら作れた感じが全面に出せました」

──『魔法』は、とことん悲しい気持ちをしっかり見つめて歌われてますね。

「『魔法』の前に『SMILEY DAYS』(2016 年6月)というシングルを出してるんですが、あの曲はビジュアル的にも音楽的にもカワイらしい感じで、22歳のリアルな目線で作ったものだったんです。『魔法』ではそこも保ちつつ、音楽性だけ今までの塩ノ谷 早耶香にグッと戻してみるとどうだろうっていう挑戦をしてみたんです。ジャケット写真とかMVの中ではカワイらしさも残しつつ、曲だけはものすごく切ないものにしてみる。そうやって対比させながら掘り下げることで、塩ノ谷 早耶香というアーティストの本当の形になるんじゃないかなと思ったんです」

──言葉の面でもグッと踏み込んでますよね。



「今回のアルバムのタイトルの『Mist-ic』は“Mist”と“Music”をかけてるんですが、柔らかくミストのような音楽という大きな意味に加えて、例えばこの『魔法』のように、言葉の面では鋭いナイフをオーガンジーみたいな布で包んだようなものを作っていきたいなと思ったんです。そのままだと痛すぎるけど、私の声だからこそそれが柔らかく聴こえるような化学変化が起きると面白いんじゃないかなと思って、歌詞にはよりリアル感を持たせたんです」

──曲の印象としては真逆だけど、『YOU&ME』の歌詞もすごくリアル。“女の子あるある”みたいな感じがカワイかったです。

「嬉しい! デートで2時間も前に着いちゃうなんてさすがに早すぎかなと書きながら思いましたけど(笑)、気合い入っちゃう感じって女の子は結構あるかなと。『SMILEY DAYS』もそうだけど、こういう曲ができるとイベントとかで歌う時の幅にもなるんです。今まではどうしても切ない曲がメインだったので、聴いてくださる方達も笑顔より涙が多かったんですけど、今は笑顔も涙も見られるようになったんです。私自身も歌っていて楽しいし、きっと来てくださるファンの方達にとっても、より感情を揺さぶられるライブになってきてるのかなと思います」


※続きは月刊Songs2017年2月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く