黒猫チェルシー *撮り下ろし3ページ |
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──約4年半振りのフル・アルバムになりますね。
渡辺大知(以下、渡辺)「CDを出したくても出せない時期があり、バンドとしてはライブ中心の活動でしたからね。レーベルを移籍してからは曲作りに励んで、今回のアルバムを見据えて、色んな曲を作ろうと。あと、各々が自分の武器を磨いた4年半でしたね」
──自分の武器というと?
渡辺「ボーカルでいうと、まずはちゃんと歌を歌おうと。それはただメロディーに乗せて言葉を言うんじゃなく、いい歌を届けたくて。立ち姿や表情を含めて、役者の仕事もあったから、それも活かされてると思います」
澤 竜次(以下、澤)「以前はコンセプトを決めて作品を作ることが多かったけど。前作でレコーディングに慣れてきたし、今回はアルバムなので何日もかかるわけじゃないですか。音楽を作ることが生活に密着してる感覚もあり、久々のアルバムなので自分達も新鮮だったんですよ。ホントに楽しみながら、レコーディングできました」
──岡本さんは?
岡本啓佑(以下、岡本)「僕は1人でちゃんと作曲できるようになったことが大きいですね。演奏面も譜面通りというより、本当の意味で16ビートを叩くというか。ノリは体に染み付いてないと、出ないですからね。実践は心も体も強くするんだなと」
渡辺「啓ちゃん(岡本)は堂島孝平さんのサポートでも叩いているんですよ」
岡本「15人とかの編成だから、鍛えられます(笑)。違う環境で演奏すると、成長できますね」
──宮田さんはどうですか?
宮田 岳(以下、宮田)「ライブでも目を合わせて演奏のキメを作ることもできるようになって、そういう空気感も録音できた気がします。楽譜通りではない歌や演奏を耳にすると、ロックバンドとしてのパワーをすごく感じるから」
──生々しさや人間味のある演奏に惹かれる?
澤「ミストーンや独特な揺れがある演奏が自分達も好きだから」
宮田 「より自発的になってるんでしょうね」
──というのは?
澤「そういうノリをどうしたら出せるのか。その話し合いはたくさんしました」
渡辺「最近はそういうものが失われつつあるじゃないですか。キレイに整理された音楽が多いから。バンドの空気感は大事にしたいですね」
──なるほど。今作に向かう上で指針になった曲は?
澤「移籍第1弾シングル『グッバイ』(2016年2月)は、日本のロックバンドとして真っ向勝負できる曲を作りたくて。僕らはギターロック的な曲が多かったけど、あるインタビュアーさんに“これが黒猫のど真ん中なの?”と聞かれて、“そうですよ”と答えたんですよ。そのあとにシングル『青のララバイ』(2016年6月)が出て、今作を出すことになるけど……その中で一貫しているのは自分達が影響を受けた音楽を、どうすれば正直に楽曲に落とし込めるかなと。その意味で今回はどの曲も自分達が理想とするロックバンドに近づけたと思います。今作で同年代や下の世代と共感できたらいいなと。『グッバイ』ができたことで、アルバム像が見えたところはありますね」