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昨年11月にデビュー10周年を迎え、5月4日に地元・横浜スタジアムで記念のスタジアム・ワンマンライブを行なった秦 基博が、初のオールタイム・ベスト・アルバム『All Time Best ハタモトヒロ』をリリース。シンガーソングライターとして、誠実に音楽と向き合ってきた10年間の道のりに加え、とにかく欲張りな内容にしたかったという“ハマスタライブ”について語ってもらった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:大畑幸子

──まず5月4日に横浜スタジアムで開催した初のスタジアム・ライブの感想からうかがいましょうか?



「そうですね…(遠くを見つめる)」

──今、視線が遠くを見つめてましたけども?

「何から話そうかなと思って…(笑)」

──何からでもどうぞ(笑)。

「これまでの10年間でやってきたライブでの表現を全部凝縮したいと思っていたんですね。1人でやりたいなという気持ちもあったし、バンドでの音の広がりも聴いてほしかったし。とにかく欲張りにやりたいと思っていて、それを叶えるにはライブ構成を二部制にするしかないなと。両極端なことをやるのも面白いなと思ったし」

──秦 基博というミュージシャンが持つ振り幅の広さを感じさせる二部構成は、とても素敵なコントラストでした。

「ありがとうございます。それにあれだけの多くの方々が横浜スタジアムに集まってくださって、そのステージから見えた景色は最高でしたね。みんながそこにいて、自分が音楽を発信していることの喜びをすごく感じました」

──第一部の演出でいうと、野球少年だった秦さんとしては、横浜スタジアムでリリーフカーに乗れたのはかなり嬉しかったんじゃないかなと。

「それはもう最高でしたよ! 格別! ハマスタ(横浜スタジアム)でライブができることになってから、どうにかして乗れないかなと思っていました(笑)。なかなか乗れるものじゃないですからね。あとバズーカを打ったり。せっかく球場でライブができるので野球がらみのことは、バンドと一緒に楽しくできる第一部に詰め込もうかなと。ウグイス嬢のアナウンスでステージに登場するとかね。その反面、第二部は1人でストイックになっていくので。そういう演出的なことは考えてました」

──ところで、あの日のライブ後のお酒は美味しかったですか?(笑)

「はい! それは美味しかったです(笑)」

──(笑)。ではこのへんで6月14日にリリースするベスト・アルバム『All Time Best ハタモトヒロ』の話を。アルバム・タイトルに初めてセルフ・ネイムを冠してますね。バンドでしたら、バンド名がタイトルになるということはよくあることですけど。

「ホントにその通りで、バンドだったら自分のバンド名を入れたアルバムを出したりするミュージシャンもいますけど。僕のようなソロ・ミュージシャンだと自分の名前をセルフ・タイトルにするって、なかなか出しにくいところもある。でも、今回はベスト・アルバムだし、それもいいなと思ったんですよ。秦 基博が10年間、何をやってきたかが凝縮されている作品ですし。しかもカタカナにして記号化するっていう」

──今、記号化って言いましたけど、カタカナにすることによってちょっとグラフィック感も出て、すごくいい味わいになっていますね。

「ですね。秦 基博を“はたもとひろ”ってひらがなで書くとよく分かると思うんですけど、ひらがなになった途端、急に柔らかくなるんですよね(笑)」

──あ、確かに(笑)。

「僕の名前って結構柔らかい文字が並んでいる。“も”なんてすごく柔らかい。“ひ”とか“ろ”も。それが漢字になると、硬いイメージになる。そういうところが面白いって改めて思いました。で、セルフ・タイトルにするなら、記号化できるようなカタカナだと思ったわけです」


※続きは月刊Songs2017年7月号をご覧ください。

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