http://www.office-augusta.com/wasureranneyo/
イケてない男子の葛藤や悩み、それでも夢や希望に向かって突き進もうとする姿を描いた楽曲によって、バンドシーンの中でも特異なポジションを得ている“忘れらんねえよ”がニュー・シングルをリリース。「自分の感情の奥底まで、正確に歌おうと思った」(柴田隆浩/Vo&G)と言う『いいひとどまり』、そして、“馬鹿にされてもいい/僕らしくいればいい”という歌詞が心に突き刺さる『スマートなんかなりたくない』からは、このバンドの新たな変化がダイレクトに伝わってくるはず。「今までと同じような曲を再生産してもしょうがない。新しいことがやりたい」という柴田に、バンドのターニングポイントとなる本作について聞いた。
Text:森 朋之

──“YON FES 2017”“JAPAN JAM 2017”などのフェス、日比谷野外大音楽堂のワンマンライブと、この春もライブが続きました。

「休みがあってもやることないし、ライブはストレス解消になるんですよ。日頃のモヤモヤした気持ちをステージの上で発散できるというか」

──最近のライブを観ていて感じたんですが、柴田さん、以前よりもしっかり歌詞が伝わるように歌ってないですか?

「あ、そうですね。バンドのモードもそういう方向になってるし、歌をしっかり聴いてもらうことが一番大事なので。フェスっていうのは出演することが目的ではなくて、そこにいる人達に足を止めてもらって、自分達の大事な曲を聴いてもらうことじゃないですか。登場曲を『ワタリドリ』([Alexandros])にしたり、お客さんの上に乗ってビールを飲んだりするのは、とりあえず注目してほしいからであって、それが目的ではないですから(笑)。ちゃんと曲を聴いてもらって“いい曲だな”って思ってほしいし、これからも意識的にそっちの方向に行きたいと思ってるんですよ。今回のシングルに入ってる『いいひとどまり』がまさにそういう曲なんですよね」

──すごく洗練されているし、歌を前面に押し出した楽曲ですよね。これまでの忘れらんねえよのイメージとは少し違うというか…。

「変われるタイミングだと思ったんですよね。今まで積み上げてきた忘れらんねえよをバージョンアップさせるのではなくて、心機一転して、全く新しいことをやりたいなと。まず、“言葉の深さ”を意識してたんです。自分の中にあるゆがんだ感情も含めた全てを、ひとつ残さず言葉で表現した曲を書きたいと思って。『いいひとどまり』のサビの前半は“きっとうまくいくさ”ということを歌っているんですけど、後半では“そういう歌を歌いたいんだけど、まだ歌えない”ということを言ってるんです。今までは前半の部分で終わってたんですけど、自分の感情をさらにひも解いていくと、どうしても後半の部分が必要だったんですよね」

──自分自身の感情を正確に描くことが、言葉の深さに繋がっていくというか。

「そうそう。そういう書き方をすると、今まで気付かなかったことに気付いたりしますからね。“自分がこういう歌を歌いたいと思うのは、自分がまだ弱いからなんだな”とか。忘れらんねえよは今まで、瞬間的な衝動を歌ってきたんです。その時の刹那的な勢いとか鮮度で勝負してきたんだけど、それはやり切った感覚もあって。同じような曲を再生産してもしょうがないですからね」

※続きは月刊Songs2017年7月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く