UNISON SQUARE GARDEN *撮り下ろし5ページ |
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──これはまさに、ユニゾンにしかできない曲でしょう。思いきりラウドで、超絶にテクニカルなギターロックなのに、パッと聴いた印象はあくまでポップでさわやかという。
田淵智也(以下、田淵)「技術のインフレが起きてますね(笑)。それが当たり前になってきちゃってる」
──TVアニメ『ボールルームへようこそ』のオープニングテーマになったこの曲、作ったのはいつ頃ですか?
田淵「初めて監督とお会いしたのは、去年の12月だった気がしますね。お話をもらったのもそれぐらいだったので、そのあたりで書いた曲だった記憶があります」
──アニメの監督さんからは、最初にどんな依頼を?
田淵「何だっけ? ちょっと待ってください(制作ノートを見直す)」
鈴木貴雄(以下、鈴木)「時間かかるなら、こっちで話すけど」
田淵「どうぞどうぞ(笑)」
斎藤宏介(以下、斎藤)「技術のインフレですよ、本当に。『ドラゴンボール』で、スーパーサイヤ人がどんどん増えるみたいな感じで、収拾がつかなくなってる(笑)。どこまで行くんだろう? っていう競技のような面もありながら、最終的には“僕たち頑張ってるんです、すごいんです”というところを前面に出す必要は1ミリもないので。楽曲として非常に楽しいものを楽しく鳴らすことが、常にテーマとしてありながらやっている感じですね」
鈴木「ポップじゃないとね。いつも言ってるんですけど、白鳥ですよ。優雅に泳いでいるように見せて、水の中では必死で足を動かしてる。その優雅さを大事にして、ポップであることを大事にしてるけど、水面下で頑張っていることに気づいてくれた人にとって、そこも魅力になっているということは、ずっと変わってなくて。でも聴いてほしいのはポップで楽しいところなので、楽しんでもらえればと思ってますね」
──ドラムは、高速のシャッフルビートということでいいですか?
鈴木「そうですね。でも個人的には、ロックとフュージョンを融合させた音にしたいというものが、年々強くなってきていて。バンドとするとポップソングだし、J-POPだったりJ-ROCKだったり、そのへんだと思うんですけど、個人のエゴとして、フュージョンの要素を盛り込んだ細かいフレーズで、そこに気づいても気づかなくても、楽しいムードを出していたいなって、年々思いが強くなってます」
──読者の皆さん、ぜひ細かいところまで聴き込んでもらえると、面白いと思います。そして今、田淵くんがメモを発見したようです(笑)。何て書いてありました?
田淵「ろくなこと書いてなかった(笑)。あー、でも、思い出してきましたよ。“オープニング映像に合うようなノリのいいものを”と言われたので、僕はその前に原作を読んでから行ったんですけど、おこがましいですが、踊るのならいわゆる4つ打ちとお思いかもしれないですけど、“僕的にはただの4つ打ちじゃないほうがいいと思います”と。それと、アニメで画を動かすのであれば、実写のダンス映画ではできない表現をやるべきだと思うので、“ギリギリ人間では表現できない速さのBPMで一回作ってみていいですか?”と言ったような記憶があるんですけど」
──あぁ。なるほど。
田淵「最初はもうちょっと速かったんですよ。でもアニメで動かした時に、アニメだからできるこの動きだよね的な、ちょうどいいところを探っていって、ちょっと下げて今のテンポになった記憶があります」