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OKAMOTO'Sのニュー・アルバムのタイトルは『NO MORE MUSIC』。“え、もう音楽は要らない!?”と驚いたあなたはぜひ、このアルバムを聴いてみて。ファンク、ソウルミュージック、ヒップホップ、ロックが気持ち良く混ざり合ったバンドサウンド、豊かなメロディーを感じさせるボーカルからは、音楽の魅力がたっぷりと感じられるはず。じゃあ、どうして“もう音楽は要らない”のか? このインタビューを読めば、その答えが分かります。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──ニュー・アルバム『NO MORE MUSIC』が完成しました。全体を通して共通したトーンがあるアルバムに仕上がっていますが、サウンドの方向性は明確だったんですか?



オカモトショウ(以下、ショウ)「そうですね。『BL-EP』(昨年リリースのTシャツ付きアナログ盤)の感触がすごく良かったので、このイメージのままアルバムを制作しようという話をして。主にはブラックミュージックのテイストと(レコーディングエンジニアの)渡辺省二郎さんに録ってもらうことがポイントです。省二郎さんとは『BL-EP』でバンドとして初めて一緒にレコーディングをして、本当に今の俺らの理想に近い音で。逆に“この音だったら、こういう曲を書きたい”というアイデアも出てきたぐらいでした」

──確かにブラックミュージックのテイストは、より濃くなっていますよね。

オカモトコウキ(以下、コウキ)「“ファンキー”というキーワードも出ていたし、そこは意識してました。デビューした頃はガレージロック的なものも多かったのですが、その時も“ファンキーだね”って言われることがありまして。もともと自然とそういうプレイはしていたけど、そこに焦点を絞ったことがなかったんです。ようやく得意技を出したという感じかもしれないです」

ショウ「曲は基本的に俺とコウキが書いているのですが、例えばハマが“こういうイメージはどう?”と参考になるようなプレイリストを送ってくれたり。レイジも毎日のようにLINEで“こういう感じもいいよね”という曲を共有してくれて。なので、今回のアルバムの方向性は、4人の総意です」

オカモトレイジ(以下、レイジ)「トレンドも押さえておこうという意識も漠然とありました。売れてる新譜や、海外でバズってるものなど。例えばザ・チェインスモーカーズの“ずっと同じ演奏が続いていて、メロだけが抜けて、歌がない状態でサビになる”感じだったり。そのままマネするわけではなくて、ああいうのってすごいよねという話を、メンバー内で共有して曲作りに向き合っていました」

ショウ「去年から今年にかけてやった47都道府県ツアーの時も、AppleMusicで新譜を大量に聴いていて。ヒットしそうな楽曲の雰囲気も変わってきていたし、シーンの潮目も変わってきている気がしました」

──確かに。J-ROCK的なバンドだけではなくて、ルーツミュージックを感じさせるバンドも増えていますからね。

コウキ「OKAMOTO'Sはガラパゴス的なところもあったと思うんですよ。“今、いつの時代?”と思われるような音楽をやっていたというか(笑)。もちろん今の時代にコミットしようとしていたけど、ここにきてやっと、時代の流れと僕らの音楽が合ってきたのかなという気がして」

レイジ「合ってればいいけどね(笑)」

コウキ「(笑)。しかも、無理矢理合わせているわけではなくて、むしろ何も考えずにやってみたら合っていたという感じで」

ショウ「確かに。個人的にも“何も考えずにやる”ということがひとつのテーマで。前作(『OPERA』)がロックオペラをテーマにしたコンセプチュアルな作品だったので、今回はただ好きなことを純粋にやりたいと思って」

──自然に時代とリンクできるのが一番いいですからね。確かにトレンドとも合っているし。

ハマ・オカモト(以下、ハマ)「聴いてくれた人が“今の時代の音楽だな”と感じる率は上がると思います。いまだに“30代かと思ってた”と言われたりしますが、今回のアルバムは2017年に合致してるのではないかなと」


※続きは月刊Songs2017年8月号をご覧ください。

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