最新シングル『どん底』を含む11thアルバム『ラッキー&ヘブン』が完成! “何も持たず 来たんだから/何も持たずに 去ってくのがいい”と叫ぶ『デカしていこう』、少年時代のノスタルジックな思い出を描き出す『足のはやい無口な女子』、タイトル通り“盆踊り”のビートを取り入れた『盆踊り』などを収録した本作には、ルーツミュージックと自由すぎるアイデアがひとつになった、ザ・クロマニヨンズ流のロックンロールが表現されている。今回も甲本ヒロト&真島昌利にインタビュー。ブレることなく斬新なロックンロールをやり続ける2人に楽曲創作/ライブに対するスタンスについて語ってもらった。
Photo:秋倉康介 Text:森 朋之
──ヒロトさん、マーシー(真島)さん、この夏はどんな音楽を聴いてたんですか?
甲本ヒロト(以下、甲本)「トレンドみたいなものはないですね。夏っぽいものを聴こうとしたり、しなかったり。カリプソが意外と(夏の雰囲気と)違ったり、たまたまラジオから聴こえてきてロックンロールがピッタリきたり。いろいろです」
真島昌利(以下、真島)「いろいろ雑多に聴いてるから、“これをよく聴いてた”というのはないですね」
──お2人は本当に様々な音楽を聴かれていると思うんですが、ザ・クロマニヨンズの音楽は一貫してロックンロールですよね。
甲本「まぁ、何となく。聴く対象としては、いろんな音楽に対して“面白い”と思うので、どれかひとつを選ぶことはできないんです。でも、自分達でやるとなると、手癖が優先されるじゃないですか。簡単にできるものを自然にやってるというか」
真島「そういうことですね!」
甲本「今回のアルバムはいろんなタイプの曲が入ってるけど、聴いてるものはもっともっと広いからね。自分達では特に驚きはないです。もともとスタイルはどうでもいいからね」
──そう、いろんな音楽が混ざってるんですよね。それがゴッタ煮になって、他にはどこにもない音楽になっているというか。
甲本「やってて楽しければそれでいいからね。作業中に疑問符が浮かんできたら、“何か違うぞ”ということになるんだろうけど」
──実際、制作中に“あれ!? おかしいぞ?”と感じたことはあるんですか?
甲本「今のところないかな」
真島「ないね(笑)」
甲本「それも感覚的なことだけどね。(アルバム収録曲)『盆踊り』にしても“音頭だよ!”“いいねえ!”という感じだったし」
真島「うん」
甲本「“じゃあ大太鼓を借りてこよう”って。その時に“それはロックじゃねえ!”なんて言う人は誰もいないんだよね。大太鼓は勝治(桐田勝治/Dr)が用意してくれたんだけど、あれ、どっから借りてきたんだろう?(笑)」
──(笑)。アルバムの楽曲は前作『BIMBOROLL』以降に作ったものが中心ですか?
真島「どうだろう? いつ作ったかは覚えてないから」
甲本「アルバムを出すために曲を作るんじゃなくて、曲を出したいからアルバムを作ってるんですよ」
真島「溜めておいてもしょうがないからね」
甲本「家で1人で歌ってるのも楽しいかもしれないけど」
──曲を出したらライブをやりたくなるでしょうし。
甲本「そうだね、ライブは最高だから。結局はそこに向けてるんだよな、最初から」
──レコーディングの方法も変わらずですか?
真島「うん。前回、前々回と同じだね」
甲本「ルーティーンですね。よくない言葉に聞こえるかもしれないけど、イチローがヒットを打つのと同じで、前向きなルーティーンなんだよ。やりたいこと、大事なことに集中するために、その他の些末なことは全部決めておくんです。そんなところに脳を使いたくないからね。演奏やアレンジは一生懸命にやるけど、“明日は何時に集まる?”とか“ごはんどうする?”とか、そんなことはいちいち考えない。面倒くさいし、とにかくバンドのことに集中したいから」
※続きは月刊Songs2017年11月号をご覧ください。