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昨年11月にリリースされた2ndソロ・アルバム『Decoration Tracks』(通称:デコトラ)以来、ちょうど1年振りとなるファンキー加藤の新作が完成した。ソロ8枚目のシングル『冷めた牛丼をほおばって』。この1年間をどう過ごし、音楽制作の上で何を感じていたのか。その胸の内をじっくりと語ってくれた。
Photo:笹原良太 Text:山田邦子

──前回の取材がアルバム『Decoration Tracks』の時ですから、約1年振りですね。お元気でしたか!?



「そうですね(笑)。最近またライブがあったり楽曲制作をしたりしているので、気持ち的には安定してきました。そういう意味でも、音楽には救われるなと思いますよ。お客さんが喜んでくれることもそうだけど、自分の生活リズムというか、ちゃんとしたサイクルを作ってくれるのも音楽だから。実はこの前のツアーが終わって2〜3か月時間が空いたんですね。次に向けての動きをどうするか考えながらでしたけど、僕、激太りしましたからね(笑)」



──映画(『サブイボマスク』)の撮影のためにあれだけ体を絞ったのに!?

「俺ってダメ人間だなぁって思いました(笑)。目の前にニンジンぶらさげてもらわないとダメなタイプなんですよ。結構な自堕落ぶりでした」

──そこからどんなふうにスイッチを切り替えたんですか?

「夏にファンクラブのイベントがあったんですが、そのあたりからですね。楽曲に関しては、秋口をメドにシングルをって予定はしていたんですが、具体的なところで少し迷っていたというか、言葉を探していたというか」

──何事もそうだと思いますが、最初の1歩というのがネックなんですよね。

「そう! 1歩目が一番難しい。2歩目3歩目はわりと苦手じゃないんですけどね。今回その1歩を踏み出すキッカケになったのは、大知(正紘)くんの曲でした。



──前作『走れ 走れ』も大知正紘さんと一緒に作られていますね。

「はい。自分でもシングルに向けて何曲か作ってはいたんですけど、どれもしっくりこなかったんですよ。自分の中のラインを越えてこなかった。そんな時に大知くんがこの曲の原形を持ってきてくれたんです。単純に大知くんの曲がカッコ良かったから採用させてもらったんですが、反面、ちょっとした悔しさも自分の中でありつつ」

──悔しさ!

「ありますよ。自分でも作っていたわけだから。だけど、どこかで悔しいなと思いながらも、いいものはいい。大知くんは、僕が何となく考えている方向性に対して狂いなく作ってきてくれるんですよ。僕は大知くんのこと、天才だと思ってます」

──そうやって第1歩を踏み出した、と。じゃあ次は何を歌おうかということですね。

「言葉のチョイスにはすごく気をつけました。どうしても現時点での俺には歌えない言葉もあったりはするので。それはあくまでも、自分の中での線引きですけどね。“どの口が言ってんだよ”って自分自身で疑問を抱いちゃったらダメなので」

──それでも、これまで以上に生々しくリアルな感情が込められているように感じたのですが。

「物語を俯瞰で見て描ければラクなんでしょうけど、どうしても俺の場合は、自分の人生を切り取って歌っていくっていうスタンスが自分らしいなと思うんですよ。俯瞰で見ちゃうと嘘になるというよりも、今は逃げになっちゃう気がして。特にシングルのリード曲はね。まぁ、正直言うとすごく逃げたくなりました。でもそこはディレクターだったり、事務所の社長に背中を押してもらいながら書きましたけどね」

──“まだ諦めてないの? いつまで夢見てるの?”って、かなり言葉が突き刺さってくる歌い出しですよね。完成までの間、加藤さんは心の中でどんな景色を見ていたんですか?

「俺と同じような境遇にいる人……はほとんどいないと思いますけど、それでもこの日本のどこかにそういう人がいたとして、その人の心に届けばいいなぁって思いながらでしたね。もちろん、限りなく僕自身の物語ではあるんですけど」


※続きは月刊Songs2017年11月号をご覧ください。

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