http://furuetero-movie.com

2003年に発表した『蹴りたい背中』で史上最年少となる19歳で芥川賞を受賞した綿矢りさが、2010年に発表した小説「勝手にふるえてろ」が映画化。ヒロインのOLヨシカ役を松岡茉優、ヨシカが中学生の頃から10年間片想いしている相手・イチ役をDISH//の北村匠海、ヨシカに猛アタックする二役を黒猫チェルシーの渡辺大知が演じている。共演を楽しみにしていたという2人に、お互いの印象や役について、さらに黒猫チェルシーが担当した主題歌の『ベイビーユー』についても語ってもらった。
Photo:久保田司 Text:奥村百恵

──まずは初共演された感想からお聞かせいただけますか。



渡辺大知(以下、渡辺)「イチは言葉数が少ないけれど、北村くんが語らずともイチの雰囲気を醸し出されていて素晴らしいなと思いました。それに、立っているだけでこの人は絵になるなと。同窓会のシーンを見ていて特にそう思いましたし、回想シーンなんかは体操服姿ですらカッコ良かったです(笑)」



北村匠海(以下、北村)「体操服は恥ずかしかったです(笑)。僕は今作のお話をいただく前から、黒猫チェルシーのボーカルを務めている大知くんと共演するのが楽しみでした。僕自身ボーカルとして活動していますし、映画監督も務めている大知くんはクリエイターとしても役者としても、全てにおいて興味深い方。大知くんとの共演シーンはエレベーターでのワンシーンしかなかったんですけど、脚本に書いてないようなことをアドリブでやってらっしゃって刺激を受けました。エレベーターのドアの隙間をすり抜ける二がすごすぎたのも印象深かったです(笑)」

渡辺「あははは! あのシーン、滑り込む瞬間は一発OKだったんですけど、そのあとの会話は何回も撮り直しました…(苦笑)。ドアのすり抜けに関しては自信あります!」

──(笑)。お2人は役者業や音楽業についてお話しされましたか?

渡辺「一緒のシーンの撮影が1日しかなかったので現場では話せなかったんですけど、今作の取材タイミングで、ようやく北村くんとゆっくり話ができそうなので楽しみです」

北村「早速ですけど、大知くんが音楽とお芝居を普段どう捉えているのか気になります」

渡辺「いきなりめちゃくちゃ深い質問きましたね! 時間足りるかな…(笑)」

北村「(笑)。今まで音楽活動もされている役者さんにあまり出会ったことがないので、同じような活動をしている人が気になるんです。僕は役者は真っ白なシーツで、監督に色をつけていただく仕事だと思っているので、常に真っ白でいたいというか。DISH//では“北村匠海”というものを磨いていかないといけないけど、役者としては北村匠海が演じてはいるけど北村匠海をいかになくして役そのものになれるかが勝負だと思っていて。大知くんはどうですか?」

渡辺「僕の場合は目に見えるものじゃなくて、自分の体から醸し出される匂いや空気感を、音楽や映像だったら表現できるのかなと思いながらやっています。面白いのが、役者の時はいかに自分を殺せるかを考えるし“渡辺大知”が消えてなくなればいいと思う時もあるけど、完成した映画を見ると“そう思いながら演じている時のほうの自分が出ちゃってる”ことも結構あるんですよね。それは音楽を作っている時も同じで“俺を見ろ!”という気持ちで作れば作るほど、嘘っぽいというか、僕じゃなくなっていく感覚になる。つまり紙一重なので、そういうことは自分で決めることじゃないんだと最近気付きました。人から得た物に対して、自分がどう受け止めるかがオリジナリティーに繋がっているんじゃないかと。音楽業と役者業の2つをやることで自分を探したいんだと思います」

北村「僕も同じで、周りからは“両方やっていてすごいね”と言っていただくんですけど、どっちか1つが欠けたらバランスが崩れると思うんです」

渡辺「昔、1つに絞ったほうがいいのかなと悩んだこともあって、2年ぐらい役者の仕事を断っていた時期もあったんですけど、やっぱりバランスを崩しました。曲を書けなくなってしまったというか。人それぞれバランスのとり方は違うので、職人のように1つのことを追求している人も素敵ですし、自分らしくやれている人はみんなカッコいいと思います」




※続きは月刊Songs2018年1月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く