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2008年2月にシングル『HOME』でデビューした清水翔太。ここ数年は自身のキャリアにとっても重要な転機になったという『PROUD』(2016年3月)、『FLY』(2017年6月)というアルバムを作り上げ、大きな話題を呼んでいる。今回はデビューから10年の歩みを振り返ると共に、「確かな手応えを感じている」という最新曲『Good Life』について話を聞いた。
Photo:笹原良太 Text:山田邦子

──新曲『Good Life』は最近作った曲ですか?



「そうですね。最近はもう、基本的には作ってすぐに出すというのが多いです。作りためていた曲は出し尽くしたっていうのもあるけど、曲を置いておくっていうこと自体しなくなったんです。やっぱり自分の中で鮮度が落ちていくから。時間が経ってしまうと、今、またゼロから作ったほうがいいものができるしって思っちゃうので」

──リリース日、1か月くらい巻きたいですね(笑)。(※取材は2017年12月)



「巻きたい、巻きたい(笑)。すぐ出したいです」

──鮮度を大事にされているということは、それだけ曲にも今のリアルな時間や感情が反映されるからでしょうね。

「はい。今言いたいことを今言うっていうのが、今の自分にとって大事なんです。昔は違ったんですよ。曲にしたいなと思うことや心が動く出来事があってもすぐには書かず、自分の中で熟成させていたんです。“あの時、あんなことがあったな”って振り返ったほうが、キレイに書けるじゃないですか。その時に書いちゃうとネガティブな感情とかもあったりして、勢いで書くのはあんまりよくない気がしていたんです。だけど最近はそのネガティブな部分も含めて、生々しく今感じていることをそのまま書く。そのほうが書いていて楽しいんですよね」

──今の気持ちとして。

「何となく、キレイに書こうとするのは仕事っぽいというか。それも決して悪いことではないですが、楽しくはないというか。だから今は、書きたいなと思うことをそのままの熱量で書いているんです。作品としては粗かったりするかもしれないけど、楽しいし、粗さゆえのカッコ良さみたいなものもあるなと感じていて。そういう自分の作り方と自分の作品との向き合い方、見え方に関しては10年間ずっと悩んできたんですけど、今はこのスタイルがラクだし、自分らしいなと思っています」

──10周年というアニバーサリーのタイミングで自分らしいスタイルに着地できていることは、きっとすごく幸せなことですよね。

「本当にそうだと思います。色々悩んだり大変だったりしたけど、今こういう形で自分のやりたいことを思い切りやって、リスナーがついてきてくれているのは一番いいことだなと思っていて。全ては必要な時間だったって今は思えるから、アーティストとしてはすごく幸せなことだと思います」

──改めて、アーティストとしてのキャリアがスタートした頃を振り返ってみていかがですか?

「はっきり言うと、最初はもう訳が分からなかったんですよ。とりあえずデビューできることが嬉しかったし、(デビュー・シングルの)『HOME』を出して──あの『HOME』は、僕の中ではちょっと特殊だったんですよ。J-POPが好きな自分もいたけど、もともとはゴリゴリなヒップホップとかR&Bが好きだったから、本来の自分はもうちょっと違う音楽性だったりするんです。だけどあの曲がバーンと売れたので、そのあとにテイストの違う曲を作っていてもやっぱり『HOME』のような曲がいいとか、もっと伝わるラブソングがいいとか、そういうふうに言われるようになっていって。だけどそれも分かるので、そういう意見を取り入れながら曲を作っていったんです。でも、思ったような結果は出なかった。しばらく経った頃に本当はこういうのがやりたいんだけどと思っても、もう戻れなくなっていて、パブリックイメージに沿った曲を作るしかできなかったんです。僕、まあまあ気を使うから…」


※続きは月刊Songs2018年2月号をご覧ください。

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