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「Augusta Camp」への出演などで確実にその名を広め、昨年11月にEP『毎秒、君に恋してる』でメジャー・デビューを果たした松室政哉。待望の2nd EP『きっと愛は不公平』の表題曲は、臆することなく心情を吐露した歌詞やボーカルが迫ってくる、エモーショナルなロックバラードだ。今回は曲作りする上で軸としているもの、また、自身が初監督を務めた表題曲のMVについてなど、興味深い話を聞くことができた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──新曲『きっと愛は不公平』はいつ頃書いた曲ですか?



「前作の『毎秒、君に恋してる』もそうですが、デビューに向けてたくさん作っていた曲の中のひとつです。歌詞がない状態の時からこれは悲しい歌だなっていうのは自分の中にあったし、なぜかこの“きっと愛は不公平”っていう言葉だけはもう頭の中にあったんですよ。客観的に見たらとんでもない言葉やなと思いつつ(笑)、これを結論に至らすためにはどんな話が必要かってことで歌詞を広げていきました」

──具体的にはどんなふうに広げていったんですか?

「きっと愛は不公平だって言うと、ちょっと恨み節みたいなところがありますよね。恋愛の曲で、ただ相手に恨み節を言ってるだけってちょっと怖い(笑)。だからできるだけ2人の間にあったもの──もちろん捨てられたっていう悲しさもあるけど、それよりも愛とか日常とか、2人の部屋にあったテーブルとか、そういうものに対してのところを核にしていこうと思いました。とはいえ、今まで作ってきた曲の中では結構言っちゃってる(笑)。これまでのような情景描写ではなく、できるだけ内面の、心から溢れてしまった叫びみたいなところで作っていったので、大変といえば大変でした」

──フラれて取り残された男性と、出ていってしまった女性。松室さんの手にかかると、どこにでもあるような2人の日常がこんなにもドラマチックになるんだと驚きました。



「歌詞の内容でいうと、確かに何もドラマチックなことは起きてないんですよ。でもそれが曲になり、前作と同じ河野 圭さんによるロックバラードなアレンジによって、1人の人間のエモーショナルな部分が増幅していったんですよね。それは自分でもレコーディングをしていて感じました。しかもこの曲、めっちゃ(キーが)高いんですよ。それが、主人公の心の叫びみたいなところにも繋がってそういう印象になるのかなと思います」

──松室さん自身が監督を手掛けたMVも、見応えがありますね。

「ありがとうございます。何でもない日常があって、その中で相手を好きになることが全ての男と、相手を好きになることは自分が生きてる中でのひとつと思っている女の人が、ちょっとしたすれ違いから大きく離れていく。だけどそれって、どっちも悪くないんですよね。そういうところを描いてみたいなと思って、初めてやらせていただきました。初回限定盤には、10分ぐらいある完全版が収録されるからぜひ見てもらいたいです」

──もともと映画が大好きだということは公言されていましたが、初めて自分で監督をしてみていかがでした?

「もちろん曲は曲で完成しているんですけど、それを映像にするとなると細かい設定が必要になりますよね。こいつはどういうところで働いていて、この2人は何歳ぐらいで出会ってとか。そういうことを考えていると、自分が作りたかったこの曲の内容が改めて明確になっていったんです。じゃあ、この2人が別れてしまったらどういうことが起こるんやろうとか考えることはすごく意味のある作業だなと思ったし、自分で作ったものだけど、もっと自分で理解することができたんです。すごく面白かったし、ものを作るという意味でも必要な作業だった気がします」


※続きは月刊Songs2018年3月号をご覧ください。

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