http://zyun.info/

2016年5月にミニアルバム『混合シナプス』でデビューしたZYUN.。作詞や作曲はもちろん、アートディレクションやスタイリングなども自身で手掛けるマルチな才能の持ち主だ。そんなZYUN.が、レコード会社移籍第1弾となる1stシングル『最初を見逃した映画みたいなこの世界で 〜Emotion Rain〜』をリリース。表題曲に込めた思いや本誌だけに明かしてくれた裏テーマ、アーティストとして今何を思うのかなど、じっくりと心境を語ってくれた。
Photo:笹原良太 Text:山田邦子

──本誌では毎月連載でご登場いただいていますが、リリース・インタビューは約1年半振り。新たなスタートという意味で、ひょっとしたら再デビューくらいの新鮮な気持ちではないかと思うのですが。



「そうなんですよ。デビューしたのは2016年ですが、実際、去年1年間はインディーズとして活動したんですね。CDでは出せなかったので『それはとても美しかった』を配信で発表して、MVを手掛けたりもしましたけど、確かに感覚としては再デビューなんですよ。10年振りのリリースぐらいな気持ちです(笑)」

──それくらい待ち望んでいた、と(笑)。

「今はCDが売れない時代だって言われているけど、僕はデビューの時のリリース・イベントで、たくさんの人がワクワクしながらCDを手に取ってくれて、封を開けて、中のアートワークを見てくれてたあの姿が忘れられないんです。デジタル音源とかストリーミングは自分も活用しているけど、それは手で渡せないでしょう? たくさんの人が一斉に音楽を聴けるのはライブのようでもあるし便利だけど、自分はもっとリアルなところにこだわっているのかもしれないなって、それを実感した1年でもありました。苦しかったけど、必死に自力で頑張った去年が繋いでくれた再デビューだと思っています」

──ZYUN.さんにとっては初のシングルとなるわけですが、4つ打ちのビートと空間系のデジタルなサウンドが、新しい世界観を打ち出していますね。



「次のフェーズが見えたのは、去年の『それはとても美しかった』ができた時でした。どちらかというとそれまでは、低音が響いているようなロックサウンドにハイトーン(ボイス)が乗っているほうが、聴いてる人も自分もしっくりくるんだろうなと思っていたんですね。そういうアプローチも曲によってはいいと思うし、ライブは楽しかったりするんだけど、やっぱり自分の“魂”がロックになりきれていないところを感じるんです。ある意味ロックな部分もある。だけど人間に色んな感情や表情があるのと一緒で、俺は、それだけとは言えないんですよ。デビュー当時、よく“どんなジャンルなんですか?”と聞かれた時に、答えられない自分に対して“無責任なんじゃないか?”って悩んだんです。本当に、すごく聞かれたから。それで『MonSter』という作品をリリースした時に、“ソバイルミュージック”っていう言葉を作ったんです。答えられないんだったら作っちゃえばいいやと思って」

──そうでしたね。

「それがZYUN.というアーティストの在り方なんだよなって思うし。で、そこまでのフェーズをちょっと超えた先にあったのが『それはとても美しかった』で、ちゃんと超えて次に行けたのが今回の作品だと思っていて。もちろんこれからも皆さんに音源を届けていくのが目標ですけど、今後も新しいCDを出すことができるのであれば、次のフェーズ、次のフェーズってやっていきたい。例え“ZYUN.って、ジャンルがどんどん変わってない?”って思われたとしても、それがZYUN.。俺が曲を書き、俺が詞を書いて、俺が歌っているんだから」



──なるほど。

「例えば昼間の渋谷を歩いていても、夜の銀座にいても、夕方のロスにいても、背景が変わっているだけで俺は俺。その感覚と一緒なんですよね、俺の中では。それはずっと思ってきたけど、今回のシングルを作れたことで、やっと胸張って言えるようになった気がしています」



※続きは月刊Songs2018年5月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く