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ニュー・アルバム『WHITE』に関して、清水翔太は「歌詞とサウンドが完璧にマッチした」と語った。シングル『Good Life』『Friday』を含む本作は、自分自身の内側を見つめることで生まれる歌詞を中心に、ソウル・ミュージック、R&Bからの影響を独自の音楽へ昇華することに成功した充実作。ソングライター/シンガー/トラックメイカーとしてさらなる高みに到達した本作について聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:森 朋之

──ニュー・アルバム『WHITE』は、清水翔太さんの新しい代表作になると思います。シングル『Good Life』もそうですが、自分自身の経験、心情をリアルに描いた歌詞がまず印象的でした。やはり歌詞がアルバムの中心なんでしょうか?



「そうですね。どんどん自分の内側に向かっていくというか…。難しいですけどね、そこは。聴いてもらえないと意味がないと思っているし、独りよがりになってはいけないので。やっぱり、自然にできた楽曲がヒットするというのが一番いいじゃないですか。それは『My Boo』(2016年5月リリースのシングル)で感じたことでもあるし、“こういう曲を作れば売れるかも”という考え方をしないというのは、アルバム『PROUD』(2016年3月リリース)から徹底してますね」

──今回のアルバムにも、清水さんの内側から生まれた表現が滲み出ていると思います。ミディアム、スローが中心ですが、これも今のモードということですね。

「はい。今回は久々にライブを意識しないで作ったんですよ。アッパーな曲で言いたいことがなかったというか、アンビエントな雰囲気の曲が自然と増えて。“どこにも属さないでOK”という感じもありましたね。どこにもない音楽を目指したわけではないんだけど、ヒップホップでもR&Bでもない、独特の世界観でいいかって。『Silver & Gold』『Rainbow』ができたあたりで“これでいい”と思ったというか。今もトラップ(ヒップホップから派生したジャンル。ダンス・ミュージックとしても人気)は好きだし、“作ろうかな”と思うこともいっぱいあったんだけど、どうしても歌詞と合わないんですよ」

──なるほど。



「今回のアルバムで、自分的に“達成できた”と思っていることがあって。それは“歌詞と自分の作る音が完全にマッチした”という感覚があったことなんです。以前はちょっと違ったんですよね。いい歌詞が書けても“R&Bのサウンドに合わないな”と思ったり。ラップにしてたくさん言葉が入るような表現にしたこともあったんだけど、今回はそういうことではなくて、自分の言葉にぴったりくるサウンドが見つかった感じがあるので。それはデビューしてからの10年間、ずっと向き合ってきたことでもあるんですけどね。色々とトライする中で、やっと自分のやり方が見つかったというか…。それは自分にとってすごく嬉しいことだし、このアルバムの価値を作ってくれていると思います」

──トラックメイク、ビートの雰囲気も独特ですよね。

「けっこう適当ですからね(笑)。例えばキックの音だったら、自分が持っている音源の中から“これかな”と思うものをパッと選ぶんです。それが良かったら曲になっていくし、ダメだったら曲にならない。一期一会というか、フィーリングで作ってるところもかなりあるんです。だから“もう一回同じトラックを作って”と言われても作れない(笑)」

──歌詞の内容についても聞かせてください。かつての恋人に向けた『(I'm Fine)』もそうですが、“あの時はこういう感じだった”“今はこういう気持ちになっている”と対比するような歌詞が多い印象があって。



「そうかもしれないです。アルバム『PROUD』から音楽性が大きく変わったと思ってるんですが、その時期からライフスタイルも変化したんですよ。以前は引きこもりみたいな感じだったんですけど(笑)、わりと外に出るようになって、色々な人と会って、色々な経験をして。自分でも大人になったと思うし、成長できたんじゃないかなって。そこで“あの頃の自分”と“今の自分”がはっきり分かれた気がするんです。お互いに憧れている部分もあるし、嫌いなところもあるというのかな。それがそのまま歌詞になるわけではないけど、その感覚は誰しもが共感できると思うんですよ。いわば“青春”ということじゃないですか、それって」


※続きは月刊Songs2018年7月号をご覧ください。

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