http://roomlaundering.com/

崔 洋一、廣木隆一、中村義洋、各監督の下で助監督を務めた片桐健滋監督が、“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2015”で準グランプリを受賞した企画を『ルームロンダリング』として映画化。今作で事故物件に住み、その履歴を帳消しにするという“秘密のお仕事=ルームロンダリング”をしている八雲御子を池田エライザ、御子の隣の住人の亜樹人を注目の若手俳優・伊藤健太郎が演じている。人生こじらせ真っ最中の女子に淡い恋心を抱く亜樹人を演じた彼に、今作の話から音楽の話まで語ってもらった。
Photo:秋倉康介 Text:奥村百恵

──ヒロインが事故物件に住みルームロンダリングというお仕事をしているという斬新な設定の今作ですが、台本を読んでどう思いましたか?



「台本を読む前は幽霊が出てくるのでオカルト色の強い作品なのかなと思っていたのですが、台本を読み進めるうちに“これは温かいお話なんだな”と気づきました。この世に未練を残した幽霊も出てきますが、怖いという感じではなく、心がホッコリする場面がたくさんあったので安心して撮影に挑めました(笑)」

──ちなみに健太郎さんはオカルト的な不思議な体験をされたことはありますか?

「僕は今まで一度もそういった体験をしたことがないのですが、見えちゃいけない例のモノが見える友人がいまして(笑)、“あそこにいるよ”なんて言ってきたりするんです。心霊写真のようなものは実際に見たことがあるので、それ以来そっち系の話が苦手になりました(笑)」



──今作では御子ちゃんが幽霊から頼み事をされますよね。もし健太郎さんが“見える人”だったとして、何か頼み事をされたら叶えてあげますか?

「幽霊サイドからの頼みか〜…悩みますね(笑)。もしも彼らと会話ができるなら助けてあげたいですが、問題はちゃんと会話ができるかどうかのような気も…(苦笑)。それこそ今作に登場する渋川清彦さん演じる公比古のような幽霊だったら、会話しても楽しそうだし親身になってあげたいなと思います」

──亜樹人くんは内気で少し挙動不審なところのある青年ですが、健太郎さんが今まであまり演じられてなかったタイプのキャラクターのように思います。どんなことを意識して演じられましたか?

「亜樹人は人と接触するのが苦手で、それがコンプレックスなんです。そのせいで過去に起きたとあることをすごく後悔しているので、そういうトラウマをしっかりと表現できるように気をつけました。思いきって自分を変えようとするけれど、なかなかうまくしゃべれないところは特に意識したり。亜樹人の役に関して監督と意見が一致していたので、相談しながら作り上げていったのですが、よく見ると半分だけシャツがズボンから出ています(笑)。これは衣装合わせの時からの衣装さんのこだわりポイントです。監督の要望で“メガネをいじる”という動作も入れることになったので、色々なメガネを試しました。みんなのこだわりでできた亜樹人を演じさせていただきました」

──亜樹人くんは隣人の御子ちゃんに恋心を抱きますが、最近は隣人がどんな人か知らないことも多いですよね。健太郎さんはご近所の方と交流されることはありますか?

「僕が幼稚園や小学生の頃は近所のおばちゃん達のほぼ全員顔見知りで、そのおばちゃん達が僕のことを厳しく叱ってくれることもありました。最近はそういうのが少ないので寂しいですよね。隣人トラブルなんかもあったりして、ヘタに知り合うよりは交流を避けたほうがいい場合もありますし。でも、僕は人と繋がるのが好きなので、お隣に住んでいる方達とも仲良しです。たまたま知り合いの知り合いだったということもありますが、気のいい年上のお兄さん2人がお隣さんで一緒に食事に行ったりもします」

──あまり人見知りではないタイプですか?



「いえ、わりと人見知りなところがあるので、相手に人見知りだとバレないようなテンションでわざと明るく話しかけるようにしています(笑)。亜樹人や御子ちゃんみたいなタイプの人の心を開くのも好きで、例えば、学生時代はおとなしくてオタクっぽい子にたくさん話しかけるようにしていました。最初はあまり会話してくれないのですが、その子が興味のある話を振ったりすると少しずつ心のドアを開いてくれるんです。頑丈な心のドアほど開けるのが快感なので、ちょっと変態なのかもしれませんね(笑)。迷惑がられない程度にこれからもトライしていこうと思います」


※続きは月刊Songs2018年8月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く