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前作『来し方行く末』からちょうど2年振りのリリースとなる高橋 優のアルバム『STARTING OVER』。昨年春の『ロードムービー』から最新曲『ありがとう』まで、5枚のシングルを含む全16曲が収録された6枚目のアルバムだ。新たなる旅立ちや再出発という意味を持つ言葉をタイトルに掲げたこの作品は、どのようにして生まれてきたのか。リリース日直前、「とにかく早く受け取ってほしいんです」と語る笑顔が印象的だった。
Text:山田邦子
──ニュー・アルバム『STARTING OVER』のリリースまであと少し。発売日直前のお気持ちとしてはいかがですか?

「今までで一番楽しみかもしれない。制作が楽しかったんですよ。本当にワクワクしながら16曲作って並べて制作したので、早く受け取ってほしくて。どんな感想でも今は楽しみです。賛否あったらあったで面白いし、褒められたら嬉しいし、批判されても楽しい(笑)。“自分”みたいなものがちゃんと出たので、“このアルバムが好き”って言われたら自分を好きって言われてるのと同じような気持ちになれるんです」

──アルバムのジャケットはリリー・フランキーさんが撮影されたそうですが、この表情もまた、高橋さんの言う“自分”がすごく出ているんだろうなと感じます。

「リリーさんの前では、表情でも言葉でも何でも、嘘とかつけないんですよね。何の迷いも偽りもない顔を撮られてしまいました(笑)。でもそういう曲なんですよ、今回のアルバムって。名刺みたいな、“THE自分”みたいな作品になりました」

──では収録されている楽曲について、いくつか聞かせてください。

「『aquarium』は水族館で書いた曲なんです。『aquarium』という曲を書くために水族館に行こうと思ったんじゃなくて、曲書けないし、水族館にでも行こうかなって」

──ちょっと心がまいってた感じだったんですか?

「まいってるほどじゃなかったけど、確かに、何かにぶち当たっている時間も長かったです。この制作期間の少し前ですけど。制作に入っちゃったら『いいひと』とか秋田弁の『Harazie!!』とか、このあたりが次から次へと出てきたし、書いてても楽しかったんですけどね。『aquarium』はこのアルバムの中でもわりと序盤にできた曲なんですが、アルバムに取りかかるギリギリまでは、“次、どうしよう”っていう悩みがずっとあったんです」

──それはどうしてだったんですか?

「今回アルバムが2年振りだっていうのもあるかもしれないけど、ちょっと自分が何かになれたような勘違いをしてたんですよ。何者かになれたような感じというか。去年、アルバムをリリースしなかったんですね。にも関わらず、自分の人生で最大の37公演のツアー(『全国LIVE TOUR 2017-2018「ROAD MOVIE」』)をやらせてもらって、すごくたくさんのお客さんが全国各地で見にきてくださるところを目の当たりにして、すごく幸せだなと思えたんです。もちろん嬉しいことなんですよ。でもそれって、曲を作るモチベーションとしてはあんまりいいものじゃないんですよね」

──現状に満足してしまうと?

「そうそう。で、自分ってそんな感じだったっけ? って思った時に、すごく恐ろしい気持ちになったんです。その期間、曲が書けなかったんですよ。ツアー終わったあとからしばらくですけど」

──曲が書けないって、想像を絶するほどの不安が襲ってきそうです。

※続きは月刊Songs2018年11月号をご覧ください。

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